電気自動車用の充電器を標準装備として設置するマンションの建設が不動産大手を中心に進められている。
電気自動車(EV)用の充電器を標準装備として設置するマンションの建設が不動産大手を中心に進められている。東京都が来年度から新築マンションへの充電器の設置を義務化。国が充電器設置にかかる補助金の今年度分予算を倍増させたことも、業界の動きを後押ししている。集合住宅を軸に「EVシフト」が進む可能性がある。
住友不動産は、令和8年2月に完成予定の分譲マンションを手始めに、EV充電器を標準設置すると1日発表した。利用者から使用量に応じて料金を徴収する仕組みを導入。EVを持たない人や使用頻度の少ない人との公平性を確保する。
東急不動産は昨年1月引き渡しの都内の低層分譲マンション駐車場で、全戸分(19戸)のEV充電器を整備した。以降は全戸設置の物件はないものの、新築マンションへの標準設置を進める。野村不動産は昨年7月、自社ブランドの分譲マンション「プラウド」シリーズで、駐車台数の3割に当たる数の充電器を設置する方針を明らかにした。
各社が意識するのは、来年4月に施行される都改正環境確保条例だ。マンションなどの集合住宅や商業施設を中心とした新規建築物(延べ床面積2000平方メートル以上)に、EV充電器の設置が義務化される。
月決め駐車場(平置き)の場合、10基を上限に、駐車台数の2割の充電器を用意する必要があり、違反した場合は社名公表などのペナルティーが科される。野村不動産では「義務化に先行対応し、国内のクリーンエネルギー自動車の普及促進に貢献する」としている。
国内のEV普及率は5年度に3.5%程度(プラグインハイブリッド車含む)と伸び悩む。全国で4割、東京で7割の居住比率を占める集合住宅で充電器設置が進んでいないことが原因のひとつだ。
国は今年度に、集合住宅や商業施設などの充電器設置にかかる補助金の予算について、前年度比で倍の360億円を確保した。12年までに全国で6年3月時点の7.5倍となる30万口に増やす計画だ。
ただ、一部のマンション大手から「設置した充電器の稼働率が高くない物件もある。正直、需要がまだわからない」との声もあり、都や国の動きが普及への起爆剤となるか注目される。
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