キャラクターはインターネットショッピングの際のパソコン画面や店舗のディスプレーなどに映し出され、実際に接客や相談対応を行っている。文字だけのやりとりよりも顧客の共感を得やすいほか、人手不足解消や効率的な顧客データ収集にも期待される。
生成AI(人工知能)技術を活用し、人間の姿をしたキャラクターが身振り手振りを交えて言葉を発して会話する「デジタルヒューマン」の開発が企業の間で進む。キャラクターはインターネットショッピングの際のパソコン画面や店舗のディスプレーなどに映し出され、実際に接客や相談対応を行っている。文字だけのやりとりよりも顧客の共感を得やすいほか、人手不足解消や効率的な顧客データ収集にも期待される。
通販サービス「ベルメゾン」を展開する千趣会(大阪市)は30日、住宅事業に新規参入し、販売にデジタルヒューマンを活用していくと発表した。熊本県に本社に置く住宅販売の「Lib Work(リブワーク)」との協業だという。8月3日に自社ブランドの住宅を発売し、特設サイトを開設する。年内にデジタルヒューマンをサイト上で運用するとしている。
30日に千葉市内で行われた発表では、女性のデジタルヒューマンが“お披露目”された。現時点では定型の質疑にしか対応できないが、今後はリブワークの住宅データを活用して学習させ、間取りの提案や住宅ローンの相談などの高度な接客も目指すという。
リブワークの瀬口力社長は「実際の人相手だとやりにくいローンの相談も、デジタルヒューマンだと話せることがある。お客さまの声も後々残しやすくなるだろう」と期待を込めた。
NECの調べでは、デジタルヒューマンの国内市場規模は昨年時点では300億円規模だったが、生成AIと関連技術の進歩で、年内には1000億円、令和12年には1.3兆円に伸びる勢いだ。
さまざまな分野で導入が図られており、テレビ北海道は昨年11月、天気予報を報じるアナウンサーにデジタルヒューマンを試験的に導入した。日本科学未来館(東京都)は昨年11月から物販コーナーのディスプレー上で活用している。
NTTコミュニケーションズは昨年、表情やしぐさを豊かにしたデジタルヒューマン「CONN(コン)」を開発した。今年5月の展示会では、ドラッグストアを展開する富士薬品と組み、薬局での活用場面をPRした。会話の反応速度などにまだ課題が多く、富士薬品の実店舗での導入は未定だが、NTTコムの担当者は「人と同じような接客ができるようになれば、さまざまな分野の人手不足の解消にもつながる」とし技術開発に意欲を示した。(織田淳嗣)
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