新ソニービル「銀座の余白」に 利用者が自由に使い方を決める空間 来年1月オープン

東京・銀座の数寄屋橋交差点に面し、ソニーが建設していた新しいビルが15日に完成した。

» 2024年08月28日 12時49分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 東京・銀座の数寄屋橋交差点に面し、ソニーが建設していた新しいビルが15日に完成した。1966年に建設されたソニービルは銀座のシンボルとして、多くの人に親しまれてきた。創業者の思いを継承し、街に開かれた公園のような施設として、来年1月にオープンする。利用者が自由に使い方を決める「余白」が重要なテーマとなっている。

旧ソニービルを建て替えた「銀座ソニーパーク」=23日午後、東京都中央区(黄金崎元撮影)

開放的な吹き抜け、ベンチも設置

 ソニーは23日、旧ソニービルを建て替えた「銀座ソニーパーク」を報道陣に公開した。地上5階、地下4階で、延べ床面積が約4390平方メートル。地上の3方が道路に面し、地下は地下鉄のコンコースや駐車場に直結している。

 地上1階は開放的な吹き抜けで、誰でも入りやすい空間となっており、ベンチが設置されている。地下から屋上まで外階段で続いており、隙間から光が入り込み、心地よい風が吹き抜ける構造となっている。地下階の一部には旧ソニービルの壁も残した。

「銀座の庭」を継承し公園をイメージ

 ソニー創業者の盛田昭夫氏は、旧ソニービルの角地にあった10坪のパブリックスペースを街を訪れる誰もが楽しめる「銀座の庭」と呼んでいた。新ソニービルは50年以上続いた「銀座の庭」の思想を継承し、「銀座の公園」をイメージして建設された。

 「銀座ソニーパークプロジェクト」に携わり、ビルを運営するソニー企業の永野大輔社長は「世界の都市の公園を研究する中で、たどり着いたのが余白という答えだった」と明かす。

テナントは入らず

 世界には緑がない公園があり、余白が街や人に新たなリズムを作っていることを知ったという。永野氏は「余白は建物の管理者が、その空間で何をするのか指定するのではなく、受け手側に使い方を委ねるという考え」と説明する。

 新ソニービルは銀座で買い物や食事をする際に休憩したり、仕事をしたり、スマートフォンで遊んだり、利用者が自由に使える空間を提供する。永野氏は「これは銀座の余白になる」と話す。施設にはテナントは入らず、イベントや広告費などでビルを運営する。

 旧ソニービルはソニーのショールームとして携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」などの新製品を展示。平成29年に閉館し、建て替え作業に入った。ビル解体中の30年8月〜令和3年9月まで公園として活用し、展覧会などのイベントを行ってきた。(黄金崎元)

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆