東大が「シュレーディンガーの猫状態」を高速生成、量子コンピューターの性能向上に期待

量子コンピューターの実用化に向け、東京大学とNTTなどの共同研究チームは1日、「シュレーディンガーの猫状態」と呼ばれる量子特有の状態を高速で生成することに成功したと発表した。量子コンピューターの計算精度や速度の向上につながるという。

» 2024年11月05日 09時34分 公開
[産経新聞]
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 量子コンピューターの実用化に向け、東京大学とNTTなどの共同研究チームは1日、「シュレーディンガーの猫状態」と呼ばれる量子特有の状態を高速で生成することに成功したと発表した。量子コンピューターの計算精度や速度の向上につながるという。

 量子は異なる状態を同時に持つことができる。相反する状態が重なり合って存在する「シュレーディンガーの猫状態」を生成することが、量子コンピューターでの計算には欠かせない。量子コンピューターは「0」と「1」の組み合わせで計算する従来のコンピューターにくらべ、「0」と「1」と「どちらでもある」状態を組み合わせて、複雑な計算を高速で処理する。

実験設備について説明するアサバナント・ワリット助教=1日、東京都文京区

 研究チームは光通信技術を活用した増幅器や測定器を用い、シュレーディンガーの猫状態を従来の1000倍の速さで高速生成することができたという。計算速度自体が向上するだけでなく、さまざまな要因で発生するノイズの影響を受けて起こるエラーの訂正も頻繁にできるようになり、計算の精度が向上する。東大大学院工学系研究科のアサバナント・ワリット助教は「将来的には100万倍の速さを目指す」と話す。

 量子コンピューターの開発は米国勢や中国勢が巨額の研究投資を背景に先行している。同科の古沢明教授は「IBMやグーグルに負けないつもりだ」と意気込んだ。

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