電気自動車(EV)やデータセンター向けなどで伸びる需要を取り込む。
三菱商事は20日までに、米国での銅鉱山開発に約6億ドル(約870億円)を投じ、権益30%を取得することを決めた。2029年ごろの生産開始を目指す。同社が米国で銅鉱山の権益を取得するのは45年ぶり。電気自動車(EV)やデータセンター向けなどで伸びる需要を取り込む。
出資先はカナダの資源大手、ハドベイミネラルズが西部アリゾナ州で進める銅鉱山開発事業「カッパーワールド」。今後、両社で最終の事業化調査を行い、26年にも開発決定を目指す。この鉱山での銅の生産量は年間最大10万トンを見込む。供給先は主に米国内の見通し。
三菱商事は稼働中の銅鉱山では現在、チリで3件、ペルーで2件の権益を持つ。出資比率に応じた銅の生産量は24年に計32.9万トンと日本企業では最大。米銅鉱山の出資分は最大年3万トンで、同社の生産量は1割程度増える。約20年にわたって生産できる。
トランプ米政権は銅管や板といった銅の半製品に対し、8月から50%の追加関税を課している。銅を製錬して作る加工前の「銅地金」は関税の対象外だが、米国内で銅関連の生産や流通拠点を再構築する動きが活発化する可能性がある。 米国は銅の生産量が世界5位、埋蔵量が7位という資源国の一つ。需要も2位と活発だ。三菱商事は1980年に米国の別の銅鉱山に出資していたが市況の変化などで2003年に撤退していた。旺盛な需要に対応するため再び米国に参入する。(佐藤克史)
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