データ提出を受けた後3日間が勝負――グローバル企業の連結決算特選事例(2/2 ページ)

» 2007年11月01日 07時00分 公開
[ITmedia]
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サーバにデータを取り込む手間がなくなる

 実際に新しいシステムで第1四半期の連結決算を行ってみると、「こんなに簡単に終わるんだ、という感じでした」と大内氏は述懐する。「今回は導入当初なので、特別に会計士に内容を詳細に見てもらいましたが、特に問題はありませんでした。トラブルは覚悟をしていましたが、すんなり終わりました。これで、新しい連結決算システムについてはお墨付きをいただいたということです」

 また、金子氏は、「まだ1回目ですが基本的にうまくいったことは確認できたので、良かったと思っています」と語る。

 そして、導入のメリットとしては、業務の効率化を挙げる。従来の連結決算システムでは、子会社側がパソコンにレポーティングツールを入れてデータを作り、それをテキストデータに置き換えて、メールで親会社に送信していた。親会社は、そのデータをサーバに取り込んで連結作業をするという形だった。つまり子会社の数だけデータをサーバに取り込む作業を繰り返さなくてはならなかった。新しいシステムでは、子会社側はWebの画面上でデータを入力し、それを直接サーバに送る形になっている。従って、親会社がサーバにデータを取り込むという作業が不必要になるわけである。

導入効果と将来像

 金子氏によると「連結決算の作業は、国内の子会社からデータ提出を受けた後3日間が勝負」になるというのだから、1つでも作業が不要になることは重要である。今後もさらに大きなメリットが生まれてくる可能性は高い。

データを簡単に共有できることのメリットの大きさ

 業務の効率化について、金子氏は次のように語る。

 「従来のシステムでは、基本的に経理部しかデータを使えませんでしたが、新しいシステムではWebの画面を通じてデータを取り出せるような仕組みになっているので、社内のイントラネット環境の中にあれば、他部署でもデータを見やすくなっています。経営企画部と経理部でも同じデータを見ることができなかったのですが、それが簡単に共有できるようになりました。使い出してみて、そういうメリットは意外に大きいと思っています」

 大内氏も効率化について、「かつては、他の部署からデータが欲しいと言われると、極端なことを言うと、プリントアウトしたものを渡すか、あるいはExcelに転記して共有するという形でした。データ共有が簡単にできるようになったメリットはとても大きいですね」と語る。

大日本インキ化学工業 経理部 連結決算担当 大内一平氏

 今後の課題としては、財務会計と管理会計の両方を扱えるBusinessObjects Financeの機能を最大限に活用し、業績管理まで踏み込んでいくことだという。そのためには関与する部署が多くなるので、社内での運用ルールを確立していくことが急務という。

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