医療崩壊の現実、高齢化社会を生き延びられるか?コミュニティーリーダーが占う、2008年大予測

4人に1人は65歳を超えるという高齢化社会、日本。70歳、80歳の人が皆寝たきりになってしまったら、それこそ日本の一大事だ。しかし2008年の医療を取り巻く状況は依然厳しいようだ。

» 2008年01月19日 09時00分 公開
[米井嘉一,ITmedia]

 4人に1人は65歳を超える高齢化社会を迎えている。70歳、80歳の人が皆寝たきりになってしまったら、それこそ日本の一大事だ。しかし皆が機能的年齢を実年齢の7〜8割に保って、60手前のいきのよさを発揮してくれば心配ない。

 これが老化を防ぐ予防医学、すなわち抗加齢(アンチエイジング)医学である。2008年は予防医学の年になるだろう。いや、そうしなくてはならない。

 独立行政法人 国立健康・栄養研究所の存続問題に対し「廃止してしまえ」という政治家がいるらしいが、これは大論争となるだろう。食の安全を守る国の要の機関であるだけでなく、予防医学の要であるからだ。

 アメリカにはNIH(National Institute of Health)とFDA(Food & Drug Administration)という機関があり、医療および医学研究、食品・栄養成分・薬剤の効能・効果・安全性に関する管理をきっちり行っている。2008年予算はNIH280億ドル以上、FDA21億ドルで、その額は国立健康・栄養研究所(約12億円)とすでに二桁違うのである。国立健康・栄養研究所はさらなる行政改革の犠牲になるのであろうか。

 都道府県別の平均寿命というのをご存知だろか。男性は1位が長野、2位が福井、女性は1位が沖縄、2位が福井となっている。これらの県は長寿県である。次年度はどこが1位になるか、大胆に予想してみよう。それはずばり福井である。

 2007年から福井は大変ユニークなやり方で県民の健康増進に取り組んでいる。地域健診としては市町村レベルが行う老人健診・節目健診がある。こうした既存の医療インフラを生かしながらアンチエイジング検診が導入されたのである。

 血管年齢、骨年齢、神経年齢、ホルモン年齢、筋年齢といった身体の機能年齢を測定し、身体機能の若返りと老化予防を目指す。題して「ふくい若さ度チェック」。県と県医師会の連携プレイも見事である。

 企業エグゼクティブの会員のために、医療経済に目を向けてみよう。医療費は益々高騰するのは間違いない。命の価値は高まるばかりだからである。

 一方では医療崩壊が加速している。悲しいことだが、今のままでは崩壊は進むばかりだろう。対策はほとんど練られてないし、すべてが後手後手だからだ。

 医療費の財源をどこから調達するか? タバコ・酒の税金を医療にまわす(増税も可)。タバコ・酒によって癌・動脈硬化性疾患(心筋梗塞や脳卒中)・アルコールやニコチン依存症が増え、その分医療費が増えるのだからやむを得まい。そして、終末医療費を予防医学にまわす。

 終末医療とは死の直前1日、2日の医療である。すべてとは言わないが少なくとも闇雲な延命治療はやめて、その分有効に使うべきである。タバコの増税とそこからの医療費補填を期待したい。

 2008年の予測を並べてみたが、医療を取り巻く状況は依然厳しいようである。

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日本抗加齢協会

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