連載
» 2008年02月08日 11時01分 UPDATE

三方一両得のIT論 IT部門がもう一度「力」をつける時:【第6回】世にもおかしな日本のIT組織(6)〜「建前」と「本音」、日本企業の複雑怪奇なフロー (1/3)

私はこれまで幾度となく、紙の回付をなくそうとワークフローシステムを構築した。しかし、残念なことに定着させることができなかった。日本企業に適したワークフローシステムはまだすぐには実現できそうにない。

[岡政次,ITmedia]

 大手電機メーカーの情報システム部門に勤めていた私は、これまで幾度となく紙の回付をなくそうとワークフローシステムを構築した。しかし、残念なことに定着させることができなかった。

 ビジネスのスピードが勝敗を分ける時代に、本当に紙と判子の日本の商習慣を標準に意思決定をしていては、世界のスピードについていけるのか、心配でならないが、日本企業に適したワークフローシステムはすぐにはできそうにない。

 私は、日本においてワークフローシステムが紙と判子の回付に負ける原因は3つ考えている。

  1. 紙は見えるが、ワークフローシステムは見えない
  2. 経路が動的に変わる
  3. 非定型な添付書類が沢山ある

1.紙は見えるがワークフローシステムは見えない

 日本人は、紙をトリガー(きっかけ)に仕事を進めるという習慣がある。これだけ企業のシステム化が進んでも、長年の習慣というものだけは簡単には変えることができない。子供のころからPCと慣れ親しんだ20代〜30代の若い世代はPCの方が仕事をしやすいのだと思うが、私たちが入社した1980年ごろは、ワープロもなく手書きが主流だった。コンピュータシステムから出力される帳票は、毎朝、情報システム部門へ取りに行き、その出力帳票が手元に着くとやっと仕事が始まった。

 また、「業務の進捗を確認する」「課題を整理する」「対策を考える」ときには、必要な書類を時系列に整理して、紙をめくりながら理解・認識する。これが最も集中して思考を巡らせることができるスタイルなのだ。

 子供のころから机に向かって紙に字を書いて、考え、理解し、覚え、計算するという行為を繰り返してきた。どうも紙を机の上に並べて考える方が集中できるようだ。だから、電子データでも忘れてはいけないものや重要なものは、必ずプリントアウトして手元に置いておきたくなる。

 この行動はまさしく紙を中心に仕事をしている世代なのだと思う。ワークフローシステムを取り入れようとした私も、まさしくその世代だ。

 そして、会社の部門長以上の脇机の上には、決裁書の受付箱が置いてある。しかも木製でなんと仰々しいことか。その受付箱は「未決」「既決」「保留」という3つに区切られていて、紙文化の象徴している。

 当然、決裁書が回付されてくれば、部長の「未決」の箱に入る。席に戻れば、書類がどれだけ溜まっているかが一目で分かる。誰しも「決裁書を止めてはいけない」という意識はあるから、随時、決裁書に目を通し確認して回付する。すると、書類は「未決」ボックスから「既決」ボックスに移る。これを、定期的に秘書が「既決」ボックスから回収して、次の回付先に届く。遠隔拠点であれば、社内便で送られる。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

ピックアップコンテンツ

- PR -
世界基準と日本品質を極める Clients First with Innovation & Japan Quality

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆