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» 2008年04月01日 09時00分 UPDATE

トレンドフォーカス:SOA推進の課題は「ITとビジネス」の間にある深い溝 (1/2)

ビジネス側とIT側双方の理解不足やコミュニケーションエラーが、企業でのSOA導入を遅らせる原因だという。お互いの歩み寄りが今後は必要となる。

[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

 企業内に散在するレガシー資産を再利用する手段、あるいは市場や経営環境など内外の急激な変化に追従するITインフラの切り札として注目されるSOA(サービス指向アーキテクチャ)。しかし、着手の遅れや推進に二の足を踏む企業も少なくないという。

 コンポーネントスクエアが1月18日に開催した「丸山先生レクチャーシリーズ2007―2008」の第3回セミナー「SOAの現在」では、SOAに携わる識者たちがその課題を分析し、普及に向けた展望が語られた。

SOAへの批判は実践が始まった証拠

 部門間ビジネスプロセスの自動化、コンポジットアプリケーションによるシステムのラッピング、ESB(Enterprise Service Bus)での異種混在なアプリケーションの統合を可能にする基盤の実現……。SOAは既にバズワードを脱し、検討段階から実質的な導入フェーズに移行されつつある。

 だが一方で、「SOAの設計手法が分からない」「技術的な敷居が高い」「ROIが見えづらい」といった批判的な意見が増えている。それを、これまでの技術的・理論的関心から、実際的・実践的取り組みに移行しつつある証拠と見るのは、稚内北星学園大学教授の丸山不二夫氏だ。

 1980年から現代まで、マイクロプロセッサのパフォーマンスは1万倍、ネットワーク接続スピードは33万倍になるなど、技術の進化のスピードと拡大はすさまじい。これを動力源とする経済のサービス化、サービスのネットワーク化の進行がSOAの経済的・技術的背景にある。

 しかしサービス提供にかかわる技術の経済的価値は、ビジネス総体の成功を通じて実現されるため、技術と経済の価値がほぼ一体の製造業と比べ間接的といえる。ここに丸山氏は、「サービスの提供技術であるSOAが意識的にビジネス指向であるべき根拠がある」という。

 では、ビジネス主導でSOAを進めていく上での本質的問題とは何か。IT側は、データとシステムは自分たちが握っていると考え、ビジネスの連中は言うことがコロコロ変わると思っている。一方、ビジネス側は、ITのプロジェクトはコストばかり掛かる、ITは必要なものを提供してくれずビジネスに責任を持たないと考えている。

 丸山氏は、SOAガバナンス(※1)によるビジネスとITとの深いコミュニケーションの確立と相互理解が必要だという。SOA導入後も企業(経営)側によるサービスのライフサイクルについて継続的かつ主体的なコミットメントが不可欠となる。また、業務からのサービスやプロセス構造の切り出しを、属人的ではなく誰でも使える形に把握することも必要だ。

 そして、IT側は、ものづくりの現場で行われるカイゼン運動を見習い、企業のビジネスバリューにもっと関心を持ち、ビジネス側との意思疎通やIT側からの業務改善提案を積極的にすべきだという。

 「SOA化はさらに進む。その変化に対応する企業が日本で増えることを期待したい」(丸山氏)

※1 SOAの管理を成功させるために必要な組織、プロセス、ポリシー、評価基準のライフサイクルにフォーカスしてITガバナンスを拡大したもの

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