社内SNS活性化は組織の健康診断に役立つトータルヘルスケア企業のナレッジマネジメント(1/2 ページ)

このところ、EGMが話題になっている。EGMとはEmployee Generated Mediaの略で、SNSやブログといったツール主体ではなく社員中心で作り上げていくメディアである。廃止の危機を乗り越え、社員参加型の情報共有基盤へと生まれ変わらせたモデレータの信念とは。

» 2008年07月16日 10時57分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

導入前の課題

ファシリテーター(促進役)による意図的な情報発信でナレッジポータルが運営されていたため、経営環境の変化で急速に利用率が低下しシステム存続の危機へ。


導入後の効果

個人/チームブログを取り入れたり、日報システムと連携させることで、全員参加型のコミュニティスタイルへ。情報が流通し感情とナレッジの共有が実現。


社内の知識を総動員する仕組み

 19世紀後半、殺菌済み外科用包帯の開発で近代医療への道を開いた米ジョンソン・エンド・ジョンソンは、1886年の創業から現在まで、世界57カ国に250以上のグループ企業に、総従業員数約12万人を擁する世界最大のトータルヘルスケア企業となった。

 日本では1961年に事業を開始し、各領域に特化した複数の企業体によってグループを構成する「分社分権経営」を実践している。その1社、日本法人のジョンソン・エンド・ジョンソンでは、医療機器を中心に扱う「メディカルカンンパニー」、バンドエイドなどの消費者向け製品を扱う「コンシューマーカンパニー」、コンタクトレンズを扱う「ビジョンケアカンパニー」といった3つの社内カンパニー制を敷いている。

 そのメディカルカンパニーの中のエチコン(手術用医療用品)事業部を中心に約200人の社員が利用しているのが「ナレッジスタジアム」というイントラネット上のポータルだ。

 エチコン事業部の中心顧客は、深い専門性が求められる医療プロフェッショナルのため、営業担当者は常に最新知識の習得が必須となっている。だが、日本全国に展開する営業体制は、直行・直帰のSOHO型勤務が基本のため、営業同士による情報交流は希薄になりがちだった。

また、創業以来の平均成長率が11%という同社は、常に2桁成長が求められる徹底した成果主義を取るが、近年の度重なる医療制度改革で医療費が削減される一方、医療機器市場は価格競争が激しさを増し、製品の差別化も困難になっていた。

 そんな状況の中、社内の知識を総動員して成長維持するための仕組みとして、2001年末に、当時のトップの決断によってナレッジマネジメントが導入され、その象徴として構築されたのがナレッジスタジアムだった。

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