アプリケーション開発3つのアプローチ開発か購入かの時代は終わった(2/2 ページ)

» 2008年07月29日 07時45分 公開
[Matt Villano,ITmedia]
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3.アジャイル 短期間で構築できるのでリスクが少ない

 アジャイルは、プロジェクトのライフサイクル全般を通して、革新的な変化を促進するソフトウェアエンジニアリングプロジェクトの概念的フレームワークだ。熟達した開発者やビジネスに精通したCIOたちにとって、この戦略はきわめて常識と思われるが、伝統的な手法と比べて十分に構造化されていないため、議論の多いフレームワークでもある。

 ほとんどのアジャイル開発手法は、一般に「イテレーション」と呼ばれる1〜4週間の短期フレームでソフトウェアを開発することにより、リスクの最小化を図る。それぞれのイテレーションはミニ開発プロジェクトのようなもので、プランニング、要求分析、設計、コーディング、テスト、ドキュメンテーションなど、追加的な新機能をリリースするまでに必要なすべてのタスクが含まれる。特定のイテレーションで製品のリリースに至る機能が追加されるとは限らないが、ほとんどのアジャイルプロジェクトではマイナーな機能追加の結果としてソフトウェアがリリースされる。

 「アジャイル開発とは、反復的な開発プロセスで、機敏かつ柔軟にビジネスニーズに反応しながらソフトウェア開発を進めていくものだ」と説明するのは、ニューヨーク州ベッドフォードのEZインサイトの主席アナリストで、AgileJournal.comの編集者、リズ・バーネット氏だ。

 アジャイルソフトウェア開発とは、エクストリームプログラミング(XP)やスクラム(SCRUM)、機能主導型開発(FDD)、クリスタル、DSDM、リーンソフトウェア開発など、この15年ほどの開発プロセスの特定の集合を指すものだ。アジャイルプロセスの理念的指導者たちが設立した非営利団体のアジャイル・アライアンスは、開発プロセスにおける対人関係の相互作用を重視するなど、アジャイルプロセスが従うべき一連の価値観をまとめた「アジャイル・マニフェスト」を提唱している。

 もちろん、アジャイルはすべてのプロジェクトに適合する手法というわけではない。特に全体像を包括する構造が要求されるような大規模開発の場合、気楽なムードのアジャイルは混沌をもたらす。また、アジャイルはその特性から、プログラマに頻繁な開発作業を強いるため、開発チームがマンネリズムに陥り、さまざまな問題を引き起こす場合がある、とバーネット氏も警告する。それでも、このフレームワークはそうしたネガティブな面を帳消しにするほど有効だと主張するのは、フォレスターの上級アナリスト、ピーター・ステープ氏だ。

 「アジャイルは仕事の結果がすぐに見え、正しいか間違っているかが容易に判断できる。もしITの仕事がビジネスニーズに適合するコードを記述し、市場競争に勝つためのプログラム開発にあるのなら、アジャイルはそれを実現するためのリスクを最小限に抑えてくれる」

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