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» 2008年11月21日 07時30分 UPDATE

景気探検:大リーグ優勝チームが不景気をもたらす? (1/2)

米国発の国際的な金融危機の中、大リーグでワールドチャンピオンになったのはフィリーズだった。実は前回優勝した28年前も深刻な不況のさなかだった。

[景気探検家・宅森昭吉,ITmedia]

 2008年9月15日の「リーマン・ショック」に端を発した国際金融危機の大波が世界経済を揺さぶっている。金融危機による世界的な株価暴落が日本の景気にも大きなマイナスの影響をもたらした。

 景気動向と関係が深い鉱工業生産指数・速報値は、9月分の前月比がプラス1.2%と2カ月ぶりの増加になった。しかし、出荷指数は前月比プラス0.4%の伸びにとどまり、在庫は前月比でプラス1.9%と大幅に増加した。在庫調整が気になる数字である。先行きを製造工業予測指数前月比でみると、10月分がマイナス2.3%、11月分がマイナス2.2%と大幅に低下する見込みだ。鉱工業生産指数の10〜11月分を製造工業予測指数で延長し、さらに12月分の前月比をゼロとした場合の試算では、10〜12月期の前期比はマイナス4.0%と大幅な落ち込みになる。

回復の兆しが見えた矢先の金融破たん

 日本銀行は10月31日に発表した展望レポートで、政策委員の2008年度の実質GDP(国内総生産)成長率見通しの中央値がプラス0.1%と、7月時点でのプラス1.2%から大きく引き下げられた。7〜9月期以降、各四半期がすべてゼロ成長でも2008年度の実質GDP成長率はプラス0.2%になるので、プラス0.1%という成長率はどこかでマイナス成長になることを意味する厳しい数字である。

 内閣府「消費動向調査」によると、日本の総世帯の消費者態度指数は9月分で31.8と水準は低いものの、8月分の30.5に比べプラス1.3ポイントと6カ月ぶりの改善だった。調査時点は皮肉にもリーマン・ショック発生と同日だった。せっかく原油価格が落ち着いてきて、日米ともに消費者心理のデータに改善の兆しが出始めようとしていた矢先に、いかにも間が悪いタイミングで株価暴落が生じた。

 米国でも消費者態度指数が7月は51.9と前年同月比(111.9)で大きく低下していたものの、8月は58.5、9月は61.4と改善していた。しかし、10月は38.0と急低下した。

失業率や犯罪率は改善

 雇用・所得環境の直近のデータは、国際金融の大混乱が生じる直前の段階では、それなりに良好な結果になっていたことを示唆している。例えば、個人の自己破産申立件数は8月分まで2003年11月分から58カ月連続して前年同月比で減少している。所得が下がり、サラ金から借金して返済できずに自己破産に陥るという人は減少している。

 東京都福祉保険局が調査している東京23区内のホームレスの数は1997〜1998年の金融危機の後、1999年8月に5798人となったのが最高である。その後2004年8月まで5000人台が続いたが、2005年に4000人台、2006、2007年と3000人台になる。2008年8月にはついに2645人と3000人を割り込む。ここ13年間では最低水準になっている。失業することによってホームレスになる人は減っている。このように限界的な所得・雇用のデータは実感なき景気回復の中、あまり知られることなく改善してきていた。

 また景気が本当に悪化していると犯罪が増えるものだが、現在は逆である。日本防災通信協会によると、金融機関の店舗強盗事件は2008年2月から8月まで前年同月比で減少している。生活が苦しく近所の郵便局に包丁を持って押し入る人は少ない。放火による火災件数も2007年秋以降ほぼ前年同月比で減少傾向にある。就職先を解雇されて頭にきて火をつける人などが減少していることが分かる。厚生労働省のデータによると、自殺者も2007年10月分から直近のデータが分かる2008年5月分まで前年同月比で減少している。

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