連載
» 2009年05月20日 07時45分 UPDATE

問われるコーチング力:休暇を喜ぶ従業員、「休みが怖い」と語る経営者 (1/2)

「ビッグスリー」の一角である米自動車大手・クライスラーが破たんするなど、昨秋以来の経済危機は大きな爪痕を残している。売り上げ拡大の機会損失になるという理由から、「大型連休が怖い」と語る経営者もいるという。

[細川馨(ビジネスコーチ),ITmedia]

 気が付けば5月もあっと言う間に半ばを過ぎた。前回お話した、スケジュール帳を開いてスイッチを切り替える術を身に付けた人は、仕事に全開で取り組んでいるのではないだろうか。

 さて、米自動車大手のChryslerが、連邦破産法11条の適用を申請し、経営再建を目指すことが決まった。Chryslerは米国の自動車産業「ビッグ3」の一角である。

 そうした企業がなぜ今回のような事態に陥ったのだろうか。昨年来の経済危機の影響もあるだろうが、時代の変化に乗り遅れ、お客様のニーズを読み取れず、変革できなかったツケが回ってきたことが大きい。現在は大きな転換期にあり、昨年の危機以降、世界中でさまざまなパラダイムシフトが起きている。今回は、今の時代に、多くの企業でコーチング研修などをしながらわたし自身が肌で感じていることについてお話ししたい。

 具体的には、(1)経営者の視点を持たない人が増えている(2)自分のことだけを考えている人が増えている(3)人材教育の重要性が増している、である。

「休みが怖い」と語る経営者

 1点目は、経営者の視点を持たない人が増えていることだ。最近ある経営者と話す機会があった。彼は「休みが怖い」と言っていた。当たり前だが、休みが増えると会社の営業日数は減る。5月のように大型連休がある月は、およそ半月で他の月と同じように売り上げを上げ、社員に給料を払い、利益を出さなければならない。これはとても大変なことである。

 一方、従業員にとっては、休暇は嬉しくてたまらないだろうし、どう過ごすかわくわくしながらプランを立てる人も多いだろう。わたしが話をした経営者も、経営者になる以前は同様の考えで、自分自身は能力があり、短い時間で高い生産性を上げていると思っていたので、休みが多いことに異論はなかった。ところが、自分が経営者になった途端、その考えが変わったという。

 松下幸之助氏が記した書籍の中に、「社員稼業」という名著がある。そこでは、与えられた仕事を単にこなすだけのサラリーマンに終始するのではなく、社員一人一人が1個の独立経営体の主人公になり、経営者の立場でものを考えて仕事を進めることを提言している。今やこの視点が欠如している人が多いように思う。このような時代だからこそ、求められるものではないだろうか。一般社員も経営者、経営幹部も、自分が会社にどれだけ貢献できているかということを改めて考えてほしい。

 例えば、休みにただ浮かれるのではなく、それ以外の時間で同じ生産性を上げるためには自分はどうすればいいのかを考える。お客様がどのような商品を望んでいるのかを常に追求し続け、自分がどのように貢献できるのかを、すべての社員が考えるべきだ。

 破たんしたChryslerは、経営者と従業員の間にさまざまな面で大きな溝があった上に、どちらもこの社員稼業という視点を持ち合わせていなかったように思える。誰かがやってくれるといった他人任せの状態に陥り、お客様のニーズに応える商品が作れなかった。特に経営陣は、一般社員の生活を守るという経営者としての責務を忘れ、自分たちの都合ばかり考えていたのではないだろうか。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

ピックアップコンテンツ

- PR -
世界基準と日本品質を極める Clients First with Innovation & Japan Quality

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆