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» 2009年09月25日 11時55分 UPDATE

「世界一蹴の旅」からすべて教わった:北朝鮮に向かう列車の中で…… (1/2)

国境を越えるべきか否か――。さんざん悩みぬいた結果、われわれは中国遼寧省の丹東から北朝鮮の首都・平壌への列車に乗り込んだのだった。

[アシシ(Libero),ITmedia]

 FIFAワールドカップ・南アフリカ大会の出場32カ国を巡ることをミッションステートメントとして掲げているわれわれにとって、北朝鮮が出場の切符を手にしてからというもの、毎日が苦悶の日々だった。

 行くべきか行かざるべきか――。昨今の朝鮮情勢を考えると、何かあった時のリスクについては、当連載第1回のコラムで言及した「自己責任」の範疇を超えることは認識しつつも、旅の序盤でいきなりミッション放棄となる事態も何とか避けたい。

丹東(中国)から平壌(北朝鮮)へ向かう列車 丹東(中国)から平壌(北朝鮮)へ向かう列車

 世界一蹴の旅を続けながらも、北朝鮮関連でビジネスをしている海外在住の知人や、最近実際に平壌を訪れたブロガーなどとコンタクトを取り、さまざまな経路から情報収集を試みた。それらの多元的な情報を基に、想定されるリスクや費用対効果を総合的に分析した結果、われわれが下した決断は「Go」だった。

 北朝鮮へのツアーは国交のある中国からの入国が基本であり、われわれはインターネットを通じて、大連市に拠点を置く旅行代理店にツアーの申し込みを行った。時間は掛からないがコストは割高な空路と、コストは安いが丸一日移動でつぶれる陸路と、2つの選択が可能だった。特に時間に追われているわけでもなく、国境を鉄道で越える興奮を味わいたかったため、陸路で入るツアーを選択した。安いといっても3泊4日の北朝鮮ツアーは日本円で一人当たり13万円弱と値は張ったが、何物にも代え難い経験となった。

 マスゲームとして世界的に有名なアリラン祭を観賞したり、韓国との軍事境界線に位置する板門店を北側から訪問したり、一般市民が利用する地下鉄に乗ってみたりと、それぞれの観光自体がとても興味深かったが、この北朝鮮ツアーにおいて最大のハイライトは、平壌まで9時間かかった寝台列車での出来事であった(各観光ポイントにおける詳細の体験談は「世界一蹴の旅」ブログをご覧ください)。

北朝鮮の一般市民との対話が実現!

 北朝鮮ツアーの初日。北朝鮮との国境に位置する中国遼寧省の丹東市にて、旅行代理店のスタッフからビザをもらい、いざ丹東駅のホームに降り立つ。ここで中国側の旅行代理店の方とお別れする。北朝鮮側のツアーガイドは平壌駅でわれわれを出迎えてくれるということだ。本来、北朝鮮に滞在している最中は、ホテルの部屋以外はずっとツアーガイドが付きっきりだと聞いていたが、平壌駅にたどり着くまでの寝台列車内において別れるのは例外らしい。

 北朝鮮の一般市民と会話ができる絶好の機会が訪れたのである! 僕は恐る恐る北朝鮮のバッチを付けている乗客に英語で話し掛けてみた。案の定、何人かに無視されつつも、根気よく会話が成り立つ乗客を探していると、幸運にも日本語が話せる北朝鮮の人に巡り合うことができた。

車窓から眺める北朝鮮の夕日 車窓から眺める北朝鮮の夕日

 日本語が流ちょうなそのおじさんはとてもフレンドリーで、北朝鮮のおじさん、おばさんが集まっている宴会に招いてくれた。向かい合う寝台2つに僕を含めて5人くらいが座り(皆胸にバッチを付けている)、中国で買ってきたと思われるハイネケンのビールをごちそうになりながら、日本語を話すおじさんが通訳に入る形で宴会は和やかに進んだ。

 彼らにとっても日本人は珍しい存在なのだろう。仕事は何をしているのか、結婚はまだしてないのか、このツアーはいくらしたのかなどと矢継ぎ早に質問を投げ掛けられる。対する僕も、外交や政治などのセンシティブな話題は避けながらも、北朝鮮人の日常生活や仕事、趣味に関する話などを聞いた。

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