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» 2009年10月20日 07時45分 UPDATE

問われるコーチング力:鳩山首相の表明から考えるビジョンの大切さ (1/2)

日本の温室効果ガス削減に関して、鳩山首相は明確な数字でビジョンを示した。これはリーダーにとって実に重要な行動だと考えている。

[細川馨(ビジネスコーチ),ITmedia]

 先日、鳩山由紀夫首相が、米ニューヨーク市内で開かれた国連気候変動首脳会合(気候変動サミット)に出席し、2020年までに日本の温室効果ガスを、1990年より25%削減するという中期目標を表明した。また、途上国や新興国の温暖化対策を後押しするため、日本の省エネ技術や資金を提供する「鳩山イニシアチブ」構想も提唱した。

 この「25%削減」という数字をどう受け取るかは人それぞれだと思うが、無理だとネガティブにとらえた人も多いのではないだろうか。わたし自身は、リーダーとしてこのような数値を示すことはとても重要だと考えている。

 現実的に考えると、25%の削減を達成するまでの道のりは、とても険しく、そう簡単に実現できることではないだろうと推測される。当然、相当な努力も必要であろう。しかし、難しいと知りながらもはっきりと数値を示すことで、日本がこれから目指すビジョンを堂々と宣言したのである。組織のリーダーとなったならば、このようにビジョンを示すことが不可欠だ。

ビジョンは組織の夢そのもの

 組織にとってビジョンとは、組織の夢、将来像のことであり、メンバーのモチベーションを高めるものであるとともに、業務を行ったり、何かを判断したりする際の指針となるものである。ビジョンが共有され、浸透している組織では、「ビジョンの実現に何が必要なのか」「ビジョンを実現するために何を優先するのか」ということをメンバー各自が常に考えて行動するようになる。

 ビジョンに必要なものは何だろうか。それは次の3つである。


(1)組織のモチベーションを高めるもの

(2)わくわくするもの

(3)組織の姿勢が明確に伝わるもの


 ビジョンは、その達成に向けて組織が一丸となって進んでいけるよう、組織のモチベーションを高められる、わくわくするものが良い。それと同時に、会社の姿勢が外部の人に対して明確に伝わるものであることが求められる。しかし、ビジョンは掲げたら終わりというものではない。ビジョンの実現を目指して進むため、事あるごとに「ビジョンに対して今はどの段階にいるのか」を確認することも必要である。

 リーダーがビジョンを明確に示すことで、組織は良い方向に進んでいく。今回、温室効果ガス25%削減というビジョンを鳩山首相は打ち出した。現段階では実現が難しいと思われるビジョンではあるが、この数値が示されたことによって、それを達成するための具体的な知恵やアイデアが生まれるのだ。実際に、どのようにしたら達成ができるのか、真剣な議論が始まっている。25%削減というビジョンがなければ、そのような議論は起こりようがないのである。

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