連載
» 2009年11月30日 08時00分 UPDATE

藤田正美の「まるごとオブザーバー」:事業仕分けの限界 (1/2)

賛否両論あるがこの初めての試みには注目が集まっている。一過性のショーで終わらせないためにわたしたち国民も事業のあり方を考え続けなければならない。

[藤田正美(フリージャーナリスト),ITmedia]

 事業仕分けが始まって以来、報道陣が印刷局の体育館にたくさん張り付いている。この事業仕分けについて、報道の評判があまりよろしくない。要するに、「仕分けられた」つまり廃止されたり、削減されたり、凍結されたりした事業の予算総額ばかりに目がいって、それぞれの事業がなぜそういった判定をされてしまったのかを報道していない。また仕分け人と説明者のやり取りで激しい場面ばかりが繰り返し流され、時には仕分け人が反発をかうというようなことも起きている。

なぜ今まで放置されていたのか

 事業仕分けという試みの最大のポイントは、とにかく予算に対する査定を衆人環視の下で行うということだ。国家予算編成を公開で行う(もちろんこの事業仕分けが最終決定ではないし、最終的には国会で議決されなければならないのだが)というようなことは世界でもおよそ例があるまい。そんなことはできないから、国民は自分たちの代表者を選んでそこでの会議で決めている。

 問題はこのシステムが日本で機能していたのかどうかということである。なぜ日本がデフレから脱却できないでいるのか、なぜ人口減少に歯止めがかからないのか、なぜいつまでも女性登用が進まないのか、考え出せば切りがないほど、従来の自民党政権には喫緊の課題に取り組む姿勢が感じられなかった。それはある意味、当然である。政権の座に長くとどまっていれば変化を望むはずがない。「民意」は変化を望んでおらず、だから自分たちが政権の座にいると信じているからだ。

 予算についても政権の座に長くいるために分捕り合戦に終始し、将来の日本を見据えた政策などという発想に乏しい。バブルが弾けて以来、巨額の財政資金を公共事業などに注ぎ込んだために、日本の負債は先進国でも最悪の水準に落ち込んでいる。

 『官僚たちの夏』で持ち上げられた日本の官僚だが、戦後復興のように国家目標が明確な時代とは違って、新たなビジョンを描かねばならない時代にはその力を存分に発揮できない。なぜならば新しいことをやるのには古いことを否定しなければならないからである。官僚のように上下関係が強い組織では、先輩を否定するということは勇気のいることである。

 それが行き詰まっていた日本であればこそ、そこに選挙で選ばれた政治家が主導すべきであるという考え方が急速に支持されるようになった。つまりは「お上に任せる」ではすまされないということだ。よく街頭インタビューでも「税金の無駄遣いを止めていただかないと」とか「政府はしっかりやってほしい」とかいう言葉を聞くが、税金の使い道を決め、政策を決めるのは自分たちが選んだ議員であるという問題意識がすっぽりと抜け落ちているような印象を受ける。

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