「頭を使わない選手は何をしても駄目」――元ロッテ・小宮山悟投手【前編】世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(1/3 ページ)

プロ野球選手として19年にわたり第一線で活躍した小宮山悟投手は、日本のみならず米メジャーリーグにも挑戦しさまざまな経験を積んだ。そこから学んだことはビジネスの世界にも通じるものがあるという。

» 2009年12月09日 08時00分 公開
[構成:伏見学,ITmedia]

 19年間のプロ野球生活にピリオドを打ち、今シーズン限りでの引退を表明しました。これまで長年にわたり身体を酷使していたので、少し身体を休めて、2010年1月からは野球評論家としてプロアマ問わず野球界にかかわっていくつもりです。

今年限りで引退した元ロッテの小宮山悟投手。言葉を選び丁寧に語る姿が印象的だった 今年限りで引退した元ロッテの小宮山悟投手。言葉を選び丁寧に語る姿が印象的だった

 それと並行してバイオメカニクスに関する研究も進めていきたいと考えています。わたしは2006年から2008年まで早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科に在籍し、投球フォームに関するバイオメカニクスを専攻していました。当時、教授に言われたのは、同じ145キロのボールでもなぜ1イニングと7イニングで球質の重さが変わるのかと。野球では一般的な表現ですが、野球を知らない人にとっては、同じボールなのに重く感じたり軽く感じたりというのは不思議で仕方ないというのです。実はボールの回転数が影響しているのはある程度認知されているので、回転数のどこを基準に球質の重さが変わるのかを明らかにできればと思います。

 研究は好きですね。普段からいろいろなことに対して自然と疑問を抱くことが多い性格なので、その都度、書籍などで調べものをしています。勉強は好きではありません。試験合格や資格取得のために何とか知識を身に付けようとするのが勉強ですが、研究は極端な話、身になりません。わたしは身にならないものに費やす時間が好きなので、四六時中、頭の中でごちゃごちゃと考えています。

 思考することはまったく苦になりません。現役時代、先発ローテーションに入っていたころは1週間に1度しか試合で投げないため、時間がたくさんありました。チームの試合を見ながら「自分ならこうした、ああした」と日ごろからシミュレーションしていました。試合前の準備段階でかなり頭を使っていましたね。

 ですから、自分自身で確立したデータを持っていました。例えば、球団から対戦チームの打者の情報などが提供されるのですが、さほど重視していませんでした。ある程度の傾向はつかめますが、あくまで自分のデータを活用していました。

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