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» 2011年01月07日 09時18分 UPDATE

ヘッドハンターの視点:「あの人はきっとダメだよね」という周囲の期待に応えない方法 (1/2)

「転職するなら今より上の役職で」というのは当たり前のようですが、ある程度の経験を持った人の転職は必ずしもそれがいいとは限りません。

[岩本香織(G&Sグローバル・アドバイザーズ),ITmedia]

 「転職するなら今より上の役職で」というのは当たり前のようですが、ある程度の経験を持った人の転職は必ずしもそれがいいとは限りません。

 大手製造業に勤めていたAさんの転職に関ったときの話です。

 Aさんは本社と海外現地法人での勤務の経験があり、バランスの良いとても優秀な方でした。クライアント(外資系IT企業:B社)が求めていた方よりも若干経験的にジュニアではありましたが、Aさんのポテンシャルの高さを考えて自信を持ってご紹介させていただきました。B社のエグゼクティブ(外国人のCさん)はAさんをとても気に入り、話はとんとん拍子に進みました。

 ところが、すべてのインタビューが終了し、わたしに届いたB社からAさんへのオファーレターは当初想定していたポジションよりも1つ下のポジションで、給料もほぼ横ばいの提示だったのです。タイトルの意味は企業によってさまざま(バイスプレジデントが副社長の企業もあれば、“石を投げればバイスプレジデントに当たる”というくらいの扱いの企業もあります)なので、一概にはタイトルでの比較できませんが、もともとAさんに興味を持っていただいたポジションよりも下のポジションがオファーされたことは明らかでした。

 Aさんは「キャリアアップになれば」ということでB社のポジションに関心を持っていたのでわたしは頭を抱えてしまいました。情報が少ない中、小さな脳みそで悩んでいても仕方がないので、Cさんにアポイントをとってこのオファーを提示した理由を聞きに行きました。

 会うなり、興奮気味に「話が違うじゃない、どうして、こんな失礼なオファーを出すの?!」と騒ぐわたしに、落ち着き払ってCさんは一言、

 「彼に成功してほしいから」

 あまりに予想外の返事・・・・・・。「?」わたしの脳みそはさらに混乱・困惑状態。そんなわたしを見てCさんは諭すように話し始めました。

 「Aさんに当初話をしていたポジションをオファーすることは簡単なことだ。でも、既存の優秀な社員は外から人が来ると“お手並み拝見”とばかりに冷ややかな対応をとる。基本的には“きっとあの人はダメだよね”というある種の期待のようなものを持っている。そんな中で成功するのはとても難しい。逆に、タイトルよりも明らかに優秀な人だと周りは“なんでこんなに優秀な人がこのポジションなんだ? ひどいじゃないか!”と言って彼を押し上げてくれるんだ。」

 なるほど・・・・・・。

 オフィスに帰って、自分の頭を整理しAさんに電話してオファーの内容だけ伝えました。その時点でAさんの不満そうな気配は十分伝わってきましたが、詳細はお会いしてお話ししましょうと伝えました。

 次の日、お会いしたAさんは怒っていました。最初にオファーを見たとき、自分もそうだったのでそのお気持ちよく分かります。まずはAさんの言い分を全部聞くことにしました。Aさんの言うことはもっともなことばかり。その上でCさんからお聞きしたことを伝えました。

 また、わたし自身が感じたCさんのビジネスマンとして、また上司としての魅力、客観的に見たAさんが現職に残った際、転職した際の将来の可能性に関してお話ししました。Aさんはその日オファーを断る気持ちでいたそうですが、とりあえず気持ちを整理するためにもいったん持ち帰ることになりました。

 オファーの期限は10日間ありましたので、その間直接Cさんの口から話をしてもらうために、Aさんに時間をもらいました。これはAさんを説得するという意味もありましたが、Cさんに対してはAさんをサポートするというコミットメントの確認でもありました。お二人が出来るだけ腹を割って話ができるように食事をしながらというカジュアルなアレンジにして、わたしは同席せずに二人だけで会ってもらうことにしました。

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