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» 2011年01月14日 07時52分 UPDATE

ヘッドハンターの視点:求む「失敗したことある人」 (1/2)

少々皮肉なようですが “タフ”な会社に勤務していた人は実は転職市場では人気が高いという事実もあります。

[岩本香織(G&Sグローバル・アドバイザーズ),ITmedia]

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 ヘッドハンターの仕事をしていると、ものの見方は人それぞれだなぁと思う場面に出くわします。

 急成長ITベンチャー(A社)がある事件をきっかけに業績が急激に悪化したことがありました。数日後アポイントもなくA社の事業部長(Bさん)がオフィスに訪ねてきました。(以前どこかのパーティーでお会いして名刺交換をした際には、BさんはA社がいかにすばらしい会社で自分はどれほどその成長に貢献しているかを大変誇らしげにお話されていました。)

 Bさんはお会いするなりA社がいかにひどい会社か、自分がどれほど大変な目にあっているか、また自分は会社に騙された被害者だということを切々と訴え、「だから、転職斡旋してくれそうなところを手当たり次第当たっています。どこかいい会社があったら僕を紹介していいですからね」とまくし立て、言葉を挟む間もなく、唖然とするわたしに履歴書を押し付けて帰って行きました。

 数日後、A社の別の事業部長(Cさん)にお会いする機会がありました。Cさんに「いろいろと大変そうですがいかがですか?」と伺うと、「いやぁ〜、大変は大変なんですが、こんな経験ができることもめったにないので、やれるだけのことをやってみます。それでダメならまた考えますよ」と豪快に話してくれました。同じ状況にあってもこんなにもとらえ方が違うのかと驚きました。

 その後、A社は事業を大幅に縮小し、BさんもCさんも退職されました。退職してすぐにCさんは複数の企業からお誘いをもらったそうですが、「自分自身をリセットする意味でも、もう一回勉強しなおします!」と言って留学され、数年後に帰国して今では全く違う分野で活躍されています。Bさんはというと、その後もあちこちで「なかなかいい転職先が出てこない。A社にいたことがいけないんだ。ほんとにひどい会社だ。」と言いふれていたそうです。

 昨年フジテレビ系で放送していた「フリーター、家を買う」で、就職活動中の息子(二宮和也)に父親(竹中直人)が「面接で前の会社の悪口を言う奴を採用する会社などない!!」と一喝するシーンがありましたが、まさにその通りです。A社がひどい会社かどうかは全く問題ではなく、Bさんが全てをA社のせいにしているのが問題なのですが、それをご自身で気付かない限り、残念ながらBさんを採用したいと思う企業はないでしょう。

 少々皮肉なようですが別の角度から見ると、A社のように“タフ”な会社に勤務していた人は実は転職市場では人気が高いという事実もあります。

 外資系中堅サービス業(D社)の中途採用面接で「仕事で大変だと思うことはなんですか?」という質問がありました。安定した大企業出身のEさんは「(現職は)定時が5時半なのに週に1日は7時過ぎまで残業しなければならないくらい仕事がたくさんあります」と答えました。A社出身のFさんは「週に2日くらいは仕事で終電ぎりぎりになってしまうことでしょうか」と答えました。D社は場合によっては9時近くまで仕事がかかってしまうことがあります。Eさんはそれを「ひどい!」と思いますが、Fさんは「ラッキー!」と考えます。“大変”のレベルは、個人の経験との比較なのです。

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