今見習うべき明治のグローバリゼーション『坂の上の雲』から学ぶビジネスの要諦(2/3 ページ)

» 2011年03月14日 14時40分 公開
[古川裕倫,ITmedia]

現代のグローバリゼーションの問題点

 今ICTの発達ともに世界が急激にグローバル化されてきている。世界の多く人が携帯電話でメールを使い、インターネットで画像を見ることができる。イギリスの子どもも日本の子どもも同じように携帯電話でデータ送信をしていることもグローバル化である。企業でいえば、グーグルやアップルをはじめとする多数の会社がグローバルにビジネスを行っている。また、ナイキ、マクドナルドをはじめとするブランドもグローバル化している。

 グローバル化の中で、世界の労働力の差が産業構造を変えつつある。例えば、デザインは他国でされても、生産拠点は中国やベトナムなどに、資本は外国であろうとIT労働の拠点がインドなどに集中してきている。国際的価格競争力が急激に高まり、わが国も対岸の火事として傍観してはおれない。

 中国、マレーシア、韓国など多くのアジアの国のグローバル化が急激に進行している。残念ながら、そういう国々にも日本はグローバル化に大きな遅れをとっていると思えてならない。

 テンプル大学ジャパン現代アジア研究所所長のロバート・デュジャリック氏と米国ブリンマー大学の竹中歩准教授は、日本の現状を「鎖国への逆戻り」であり、「リバース・グローバリゼーション」(逆グローバリゼーション)であると警鐘を鳴らす。その実例として、わが国は移民をほとんど受け入れていないこと、日本からの海外への留学生数が減少してきていること、また、企業の国際進出・対外投資が少ないことなどを挙げている。

 若者もなんだか弱々しい。海外を目指すより国内指向であり、企業の取締役にはなかなかなれないので部長を目指すのが精一杯だとか。

 日本の企業統治を見ても、グローバル化している国々と比較して社外役員の数が極めて少ないことは言うまでもなく、外国人社外役員を置く企業は数えるほどしかほどしかない。

 年寄り臭いことを言うようだが、日本の若者は、国内だけを見るのではなく、世界のグローバル企業の一員としても活躍するぐらいの気概が欲しい。日本の会社だけではなく、世界のエクセレントカンパニーの役員になることぐらいは目指して欲しいものである。

 明治の人々の気骨とまではいかなくても、その何分の1かでも持ってもらいたいものである。

 デュジャリック氏らは、明治と現代を比較してこう表現している。

明治は、「WEAK ORGANIZATIONS,AND STRONG MEN」

現代は、「STRONG ORGANIZATIONS,AND WEAK MEN」

 明治は、政府や学校などの組織は弱かったが、人間力が大きかった。現代は、組織は強いが、人の器が小さい。まさに、要点を言い当てている。

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