iPadで躍動する職場
アナリストに聞く、企業におけるiPad活用法(1/2 ページ)
iPadをはじめとするスマートデバイスが消費者市場に急速に広まる中で、企業も情報インフラとしての活用を模索し始めている。コクヨは、経営層や営業担当者、プロモーション部門などで計150台を導入。さらに、2011年末までに1650台の導入を予定しているという。だが、こうした機器を企業が利用する場合、管理のしやすさやセキュリティなど、解決するべきさまざまな課題が見つかる。企業はこうした課題をどう評価し、経営戦略に生かすべきなのか。
IT関連の調査を手掛けるガートナー ジャパンで、iPadなどの新型デバイスについて分析するアナリスト、針生恵理氏に話を聞いた。
ITmedia 企業インフラとして、iPadなどのスマートデバイスをどのように位置付けていますか?
針生 大きな特徴は、PCとは導入ルートが違うということです。iPadの導入企業の多くは、経営者などのエグゼクティブ層からのトップダウンで意思決定がなされています。エグゼクティブのビジネスアクセサリーのようなイメージかもしれません。
現在、モバイル機器にはさまざまな選択肢がありますが、スクリーンサイズ、機能を基準に考えると、従来のノートブックやタブレットPCなど、フル機能OSを搭載し、コンテンツを作成するために利用される「コンテンツ作成型の機器」と、iPadを含めたメディアタブレット、スマートフォンなどを含む「コンテンツ利用型の機器」に分類できます。
後者のコンテンツ利用型機器は、専用OSやChrome、Androidなど制限されたOSを搭載しているのが特徴で、ガートナーでは、iPadをこちらに分類しています。境界線にあるネットブックあたりは、iPadと競合する可能性もありそうです。
企業PCと従来から利用されてきた「作成型」に比べ、「利用型」はコンシューマー市場をターゲットに開発されていることが多い。企業インフラとしての位置づけではないため、OSやアプリケーションの互換性などが考慮されていないことが多いのです。iOSなどのスマートフォンに使われているOSは比較的新しく、複雑な機能を求められないためにシンプルなつくりになっています。
このようなOSはまだ新しく、頻繁にバージョンアップが実施されます。その際に、従来動いていたアプリケーションがバージョンアップ後に動作しない可能性があります。従って、情報システム部門はOSの頻繁な更新に伴う端末管理の煩雑さや、アプリケーションの互換性を担保することの難しさをあらかじめ計算に入れておく必要があるでしょう。そのため、現状でiPad向けアプリケーションを導入する際は、収益率などを含めて比較的短期的な視点で実施するべきです。
iPadの主な利用事例
- みずほ銀行 2010年7月
金融商品の説明や金融情報提供の支援ツールとして試験導入
- AIGエジソン生命 2010年8月
顧客向けカタログ、営業支援ツールとしての試験導入。静止画と動画の組み合わせ。
- ベスト電器 2010年6月
社内会議資料の閲覧ツールとして約10台を導入。
- ガリバーインターナショナル 2010年6月
中古車の出張販売支援ツールとして5台を試験導入
ITmedia iPadを利用する業務をどう検討するべきですか?
針生 iPadは、既に多くの企業が利用しているように、プレゼンテーションツールとしては魅力的です。しかし、これを全社的に情報システムとして活用するのは、まだ慎重に検討する必要があると考えます。というのも、Appleはハードウェア、ソフトウェア、プラットフォームを統合的に管理し、iPadやiPhoneなど、Appleの世界に閉じた環境を構築しています。
UnixやWindowsなどを基盤にした基幹システムをiPadと連携させるとなると、Appleの仕様に合わせて基幹システムを再開発するケースが多くなります。iPadを使って発注処理などを実施するのは、現状では推奨できません。もし実施するならば、既存のWindowsシステムなどとの連携を仮想環境上に実装し、そこに対してiPadをアクセスさせるといった方法がありますが、利用範囲は限定されるでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
東京のレストラン7軒がメキシコ政府から「本格的なメキシコ料理」として認定
-
2
米テスラの二足歩行ロボットや蓄電池を展示 日本初のギャラリーが大阪にオープン
-
3
「知財戦略で世界をリード」技術は秘匿と標準化の両輪 日本特許情報機構・近藤賢二理事長
-
4
AIで進化する特許事務所 権利化と事業伴走のプロへ IPTech弁理士法人<前編>
-
5
「身代金は支払うべきか」――YKK APが7年越しに気付いた経営とセキュリティの視点のギャップ
-
6
ビジネスもセキュリティも「数字で示すしかない」 - JERA CIO兼CISO 行徳セルソ氏
-
7
無人タクシー実用化へ、GO会長ら国交省訪問 金子大臣「大きな一歩」
-
8
「エラーの滝」にも怯まず挑戦を続けたから今がある――DeNA IT本部長 金子氏
-
9
「進まざる者は必ず退く」、現状維持は大きなリスク - みずほFG CISO 寺井氏
-
10
「ウサギとカメ」の本当の教訓とは?――童話の教えを疑ってかかってみると、人生の本質が見えてくる
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー