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» 2011年08月25日 07時00分 UPDATE

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:初めて示された経営戦略立案に必要な具体的技法 (1/2)

経営戦略は思い付きやアイデアから流れ始めつくられていく「シナリオ」のようなものだ。経営戦略立案とはメンバーが読めば分かるシナリオを書くことである。

[山田修,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


リーダーは経営戦略を立てられなければならない

 ビジネス・リーダーの最大で最終的な責務というと、預かったチームのアウトプットを最大化することに他ならない。つまり、結果を出すということだ。社長なら会社全体の、部門責任者なら自分が率いているチームの成績を向上させ、改善するということとなる。それは課長クラスの新任管理職でも同じことだ。

 わたしは、経営戦略のことを別名で分かりやすく「やり方」と呼ぶことがある。業績を向上・改善させるためにリーダーは仕事の「やり方」を策定し直さなければならない。そしてそれを確実にチーム全体で実践させることで結果を出す。それが「経営戦略の策定と実践」なわけだ。

今までの競争戦略セオリーは観念論ばかり

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 今までの経営戦略に関する本は、「戦略を立てる前の環境分析」に関するモノ(いわゆるフレームワーク)か、直前数年間に大成功した著名企業が実施した戦略の「解説と分類」(コア・コンピタンスやブルー・オーシャンなど)のどちらかであったと言ってよい。これら二つの段階の間にある「実際に戦略ってどう立てるの? 」という「戦略立案の方法」については誰も具体的に語っていないのが現状である。

 例えば、競争戦略セオリーの始祖・マイケル・ポーターは「競争優位」の確立の重要性を説いているのだが、それではその「競争優位」をどう確立し、どう組み合わせて個別会社の経営戦略とするのかという、具体的な方法は示していない。

 最近発表され話題になった楠木建の『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)にしても、「戦略を策定するに当たってのコンセプトの重要性」を指摘したのだが、その「コンセプト」については「各自が自分で考えるしかない」として、その立案法を示すには至らなかった。

 フレームワークと総称されるSWOTや3C、4P、5F、7Sなどは、そもそも牽強付会的な語呂合わせで無理がある。これらはいずれも企業の外部や内部の環境や要因を整理分析しようとするものだが、経営戦略は分析からは生まれて来ない。それは、思い付きやアイデアから流れ始め、わたしはその流れを「シナリオ」とよんでいる。経営立案とは「シナリオ・ライティング」なのだ。

戦略がなければ漂流してしまう!

 わたしは6つの会社で計22年間にわたり社長として仕事をしてきた。いつもスカウトされて着任し、業績が低迷していた会社をてこ入れしたわけだが、幸いそれぞれの会社で、4年ほどの在任期間中に結果を残すことができた。

 例えばフィリップスライティング社では、わたしが着任する前の3年間に年商がちょうど半減してしまっていた。ところがわたしが在任した続く3年間にはそれが逆に3倍弱、200億円の年商を達成した。売上げ規模でこれだけのV字型回復を遂げた例は他にはないと言われている。

 任された全ての会社に関して、事前の知識や人脈などもなく業界や業態も皆バラバラだった。そんな状態でうまくやってきたのは、一重に「何をやればうまくいくのか」を考え抜き、整理しながら経営してきたからだと思っている。つまり「勝ち上がる経営戦略」を策定してそれを鋭意実践してきたからこそ、顕著な業績の回復を実現できたわけだ。

 経営者なら「金融機関から事業計画を求められたが、どう作り始めたらいいか分からない」、新しく部門責任者となったマネージャーなら、「これからは、ちゃんとした経営計画(つまり部門戦略)を考えてコトに当たれと、トップから要請された」などと、途方に暮れている人がとても多い。でも多くの経営者や部門責任者は、そんな方法を教わったことのない人が圧倒的なはずだ。それはそんなことを分かりやすく教える本や技法が今まで無かったからだ。

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