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» 2011年09月08日 07時00分 UPDATE

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:上司の役割を理解し行動を実施するためには (1/2)

今のこの厳しい時代にリーダーシップが必要だ。そのためには上司として「やってはいけないこと」を守るのも1つの方法である。

[内海 正人,ITmedia]

この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


なぜ上司というポジションが嫌われるのか?

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 「上司と部下の関係について」多くの書籍が出ています。課長になったら何をするのか? マネジャーの仕事とは? など、いろいろなノウハウが書かれています。方法論、上司としての心構えなどさまざまな視点から多くの書籍で書かれています。しかし、その方法を自ら実践するにはバラエティに富んでいて、「一体、いつ、どこで、何をすればよいのか? 」という状況に陥ってしまいます。

 上司と部下の関係について、これほどの書籍が出てきたのは最近です。その理由はマネジメントの方法が少し前に大きく変わったからではないでしょうか。

10年ぐらい前の上司、部下の関係は「絶対服従」「最後まで面倒を見てくれる」「親身に指導」「アフター5も付き合う」などの言葉に象徴されるように、仕事もプライベートも長い時間共有し、濃い人間関係の中で仕事をすることでした。

 しかし、バブル崩壊後マネジャー層を中心としたリストラが実施され、当時のマネジャーも現場に戻り、数字を持つようになったのです。多くの管理職が「プレイングマネジャー」となり、個人の数字がその責任として覆いかぶさってきたのです。こうなると部下の面倒どころではなく、自分の数字が優先されます。また、部下がいるとはいえ、自分の目標がクリアできなければ「部下に指導」などできないと考えてしまいます。当然上司と部下の接点が減ってきます。そして、昔みたいな「濃い関係」を築くことができなくなってきたのです。

 多くの組織が階層組織からフラットな組織へと様変わりを始め、その結果、数人を統括するマネジャー職が現れたのです。しかし、このマネジャー職に就く人たちは「他人に仕事を教える」ことが初めてな人たちです。結果、教えたことが無い人が業務を教えることとなり、上司となった人も部下も戸惑うことが多かったのです。

 さらに、景気が良くない状況が続いていたので、企業としては社員に対する教育や研修の費用を抑えるところが増えてきたのです。こうなると上司というポジションとはいったい何なのか? という状況の会社も多く出てきたのです。

 そして、「責任ばかり重くて、魅力が無い」「安い給料で部下の面倒までも、みられない」こんな声も聞こえてきます。任された数字は大きい、しかしそれだけではな、部下の数字も責任をとらねば……。こうして、上司というポジションは嫌われるようになってきたのです。

管理職教育の欠如

 「あなたはリーダーになるために何か教えて貰いましたか? 教わってきましたか? 」この質問にほとんどの社員は首を横に振っていました。ある会社の管理職研修の場面です。そこでの最初の質問に対するメンバーの反応がこれでした。

 そこの研修は、新任のマネジャーからベテランのマネジャーまで多くの社員が参加していたのですが、信じられないことに部下を管理するポジションを与えられていただけだったのです。つまり、実際の指導法は教わっていなく、「部下の面倒を見る」、「見よう見まねで部下の人事考課をする」といった状況だったのです。そして、多くの質問がわたしに浴びせかけられたのです。

 「いつ叱ったらいいのですか? 」

 「部下に仕事を教えるコツはありますか? 」

 「人事考課とは何を評価したらいいのですか? 」

 部下の育て方を知らずにポジションに付いた上司たちが現場でもがいている姿が、わたしの目に飛び込んできました。

 社員教育の方法は10社あれば、10通りの考えがあり、異なる方法があるでしょう。しかし、この現場のメンバーたちは同じような悩みを持ち、同じところでつまずいていたのです。しかも、今回の研修が無ければ「自分だけが悩んでいて、他のマネジャーはちゃんとやっているだろう」と考えている人ばかりだったのです。そんな彼らを前に、「もっと早く」この場が与えられていたのなら、彼らの悩みの半分は解消できていたのではないかと思ったのです。

 このような状況はこの会社だけではありません。さらに、程度の差はあれど、ほとんどの会社で同じことが「日々」起きているのです。そして、多くのマネジャーが「誰にも相談できずに」紋々と悩みを抱えて、上司として頑張っているのです。

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