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» 2011年11月16日 08時00分 UPDATE

海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点:儲けたいなら2番手になれ (1/3)

市場に1番に参入しなければ利益が得られないと考えていないだろうか。本を1番最初にインターネットで売り始めたのはアマゾンか? イノベーションは強化、拡大することでビジネスになるという。

[エグゼクティブブックサマリー,ITmedia]
エグゼクティブブックサマリー

 この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。

3分で分かる「儲けたいなら2番手になれ」の要点

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  • 市場に出す第1号になる必要はない。実際、戦略的2番手になる方が良い
  • ある要素の集まりが急進的イノベーションを生み出す。そして、異なる要素の集まりがそのイノベーションを強化し、それから恩恵を得る
  • イノベーションを促進する力とイノベーションを有益に強化する力が1つの組織内で共存することはほとんど不可能である
  • 効率性を持ち顧客のニーズを理解することで、イノベーションの有益な強化は促進される
  • 科学的発見の初期段階で急進的イノベーションの方向性を予測できる人はいない
  • 市場に参入する最適なタイミングは、支配的設計が具体化した時である
  • もし大手企業に勤めているのなら、急進的イノベーションを生み出そうという試みは有効ではないかもしれない。それよりも、イノベーションを外部委託し、その結果を獲得すること
  • 市場が変わると、組織はそれまでとは異なるストレスを受けるようになる

この要約書から学べること

  • 先発者利益が神話である理由
  • タイミングさえ良ければ素早い2番手になる方が有利な理由
  • 有益なイノベーションとは

本書の推薦コメント

 コンスタンチノスC・マルキデスとポールA・ジェロスキーは、興味深い課題に取り組んでいます。2人は、「大きな利益を得る方法は、タイミングさえ良ければ、イノベーションを市場に持ち込む2番目の企業になることだ」と主張しており、その主張を裏付けるデータを沢山持っています。しかし、先発者利益(1番に市場に出すことが利益を得るための方法だという考え)の神話はすっかり広まっているため、それが誤りであると説得するには長い時間をかける必要があります。

 また、「素早い2番手」として成功するための試みには課題とリスクがあるとも述べています。同時に、市場を引っ張るイノベーター、競争相手、業界、消費者需要の間の複雑でほとんど自然な相互作用を説明しています。著者2人は共同的創造活動を上手く文章にまとめています。本書を、イノベーション戦略を考え直したい、あるいは新しい市場に参入したいと思っている人にお勧めします。また、本書を読むことで、イノベーション、プランニング、新商品のマーケティングあるいは社会および経済の変化に興味のある人は、2番手になることが魅力的に感じるようになるでしょう。

 業界の中で圧倒的な認知度を誇り、他の追従を許さぬくらいに儲けるためには、どんな業界においても「ナンバーワン」になる必要性があります。これは、誰もが認めることでしょう。例えば、世界で1番高い山はエベレストであることは誰もが知っていますが、では2番目に高い山は? と聞かれるとそれがK2であることは意外と知られていません。これは、さまざまな事柄に通じる大原則と思われるのですが、この書のタイトルを見た時、正直、この本はそうした常識を本当に覆せるようなものなのか、大きな疑問が浮かびました。

 うまくいっている企業のまねをすることによってある程度のシェアの確保は可能となります。しかし、まねはまねであってそれをずっとやり続けていても絶対にオリジナルに勝てないのは、至極当然であるといえるでしょう。しかし、本書を読んだ時、確かに場合によっては先駆者を追い抜き、先駆者以上に巨利を生めるという事実に納得がいきました。つまり、オリジナルを超えるには、最初はまねでもある時点で今度は、それに自分自身の持ち味を加えて新たなるオリジナリティを生み出す力の有無が、業界の新しいナンバーワンを決定付けるのではないでしょうか?

 では、そのオリジナリティを生み出すためには、具体的に何をしなければならないのか? どのような手法があるのか? この書ではそれについて細かく語っています。

急進的イノベーションに関する誤解

 本をインターネットで売るアイディアを考えたのはどこの会社でしょう? アマゾン社でしょうか? 違います。アマゾンは、革新的企業に関する一般的な誤解の一例に過ぎません。その誤解とは、利益を得るためには市場に1番に参入しなければならないというものです。

 実際の所、根本的に新しい製品を発表した(そして「全く新しい市場」を作った)イノベーターは、利益を得ている会社ではありません。その代わりに、その後から参入した企業がお金を儲けています。つまり、先発会社が生み出したイノベーションを強化、拡大した企業が、そのイノベーションから利益を得ているのです。

 事実と記憶が混乱して、人は誤解しているのです。人々は、ヘンリー・フォードが自動車を市場に売り出す方法を見つける前に、自動車を発明しそして失敗した人のことを忘れているのです。一般的に、イノベーションには次の4つの形があります。

 1、漸進的イノベーション:既存の製品に対するマイナーで小さな改善

 2、大きなイノベーション:既存の製品に対する大きな変化

 3、戦略的イノベーション:比較的マイナーだが、既存の市場を混乱させる変化

 4、急進的イノベーション:自分のビジネスや製品への理解を根本的に破壊する大きな変化

 最も重要なのは急進的イノベーションです。なぜなら急進的イノベーションは上記のような圧倒的な変化を生み出しますし、関連する原理を理解している人がほとんどいないからです。大手企業のリーダーの多くは、新しい市場を作り、そこに1番に参入したいという夢を持っています。しかし、そのような夢を持つべきではありません。大手企業は通常、新しい市場を作ることはできません(やるだけエネルギーの無駄になります)。

 それは企業の文化がそれに適していないからです。実際、本当に急進的なイノベーションは危険な特性を持っているため、まったく新しい市場を作ることを企業の目標にするべきではありません。第1に、新しい市場の開発は真っ直ぐな道ではありません。なぜなら新しい製品は基本的研究や生産から生まれるのであって、顧客の需要からではないからです。

 第2に、急進的イノベーションには科学者など多くの専門家が携わり、全員がそれぞれ自分自身のために、新たな技術の異なる要素に1人で取り組んでいます。彼らは大抵、自分達が大きな革命に携わっていることすら知りません。なぜなら、急進的イノベーションは長期間の「立案過程」を通過しますが、その間、何が起こっているのか判断することはできないからです。

 その後、イノベーションは、多くの場合爆発的に生まれます。そして、取り囲んでいる市場を混乱させるのです。イノベーションに関する誤解には他にも、新しい市場はお金がある所で開発される(実際はお金がないところです)、そして、市場から利益を得るには市場を作る必要がある(実際は必要ありません)というものがあります。

 業界の先駆者がそこのナンバーワンのシェアを取るということはこれを読む限りにおいては明らかな妄想となります。発想や発明よりも、大切な事は急進的イノベーション! つまり、現市場のバランスを崩して新しいバランスを作ることにあるわけです。

 では、具体的に急進的イノベーションとは何を指すのでしょうか?

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