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» 2012年02月28日 08時03分 UPDATE

藤田正美の「まるごとオブザーバー」:情報の差が国力の差 (1/2)

記録がなければ、過去の出来事から学ぶことができない。だから記録をし、残しておく。それは個人でも組織でも同じことだ。まして国ならばなおさらである。

[藤田正美(フリージャーナリスト),ITmedia]

 先月のこのコラムで「官のずさんな情報管理が日本をだめにする」と書いた。つい先日、NRC(米原子力規制委員会)の議事録が公表された。昨年3月11日の大震災で福島第一原発が冷却できなくなったことに対するアメリカ側の記録である。

 NRCのサイトに行けば公になった速記録などを読むことができる。この速記録の冒頭に注意書きがある。「この速記録は未編集でかつ参加者によるチェックもされていない。タイプミスやその他の間違いが含まれている可能性があります」

 つまりNRCでは音声記録があり、それをタイプアウトしたものが3000ページにも及ぶということだ。それに対して、日本では「緊急時対応に追われて議事録をつくる時間がなかった」という言い訳が通用している。録音やらメモやらをかき集めて、議事録を作成するのだという。これでは議事録ではなく「疑似録」にすぎない。

 ここに彼我の差がある。記録があれば後から検証もできるし、同じような事件があれば検索して情報を読むこともできる。記録と検索と共有がまさに情報化時代のキーだ。しかし日本の省庁のホームページを見てみるがいい。どうひいき目に見ても、使いやすいとかデータを探しやすいと思う人が多いとはとても思えない。中にはエクセルで作った生データを掲載してことが足りるとしているケースや、書類をスキャンして資料として掲載しているケースすらある(書類を画像で掲載して検索させないという陰謀かと疑うほどだ)。

 政治に透明性を、と謳った民主党も、いざ政権を取ると他のマニフェストと同様、透明性をなかなか確保できない。例えば官房長官の記者会見。長官からの発表は文章になって記載されている。しかし記者との一問一答の動画はあるが、スクリプトはない。動画は場の雰囲気を伝えるにはいいが、例えば重要な発言を探そうとするには不向きだ。本来、記録というものは文字で残すのが基本である。

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