どの業界でも生き残ることができる「自立」したビジネスマンを目指せ!ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

売れないタレントだった芸能界時代の10年間で養ったもの、それはビジネス社会でサバイブするために必要不可欠な基礎力そのものだった。

» 2012年08月02日 08時00分 公開
[飯塚 和秀,ITmedia]
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 わたしにとっての芸能界時代は長い間、「パンドラの箱」そのものでした。

 「下積み10年」という時間は決して軽くありません。高校2年生、16歳の時から追い求めてきたタレントとしての夢、その欠片すら手につかむことができない屈辱的な日々を長く送った後、深い失意のもとわたしはサラリーマンへと転身しました。その瞬間から当時のことは一切振り返るまいとして生きてきたのです。

「タレントだった僕が芸能界で教わった社会人として大切なこと」

 ところが昨年ちょうど、芸能界で過ごした期間と同じ10年という時が流れ、不幸な東日本大震災をきっかけに、わたしは長いこと封印していた過去と初めて向き合うことにしました。その結果として生まれたもの、それが「タレントだった僕が芸能界で教わった社会人として大切なこと」だったのです。

 今となっては遠い過去である芸能界時代を振り返ってみると、タレントに求められる技能に関する指導内容はほとんど思い出すことができませんでした。そのかわり、20年近く経った今でも鮮明に自分の中に残っていたものがあります。

 それは芸能界時代にお世話になった諸先輩や指導者から徹底的に教わってきた、仕事に対する「心構え」そのものだったのです。

 「努力」「礼節」「人間性」。本書で書かれていることは実に当たり前のことばかりです。ところが、芸能界時代の名物マネージャーであるエンドゥ、教育担当のカラス・筋肉バカと、この本の中に登場する実に個性的な社会の先輩達から熱く教わってきた教えというのは、当時、幼かったわたしや友達は強烈なあだ名などを付けて反発を試みてはみたものの、結局のところは長い時間を経た今でも心の深いところにしっかりと残っている。それくらい鋭いものだったのです。

 なぜ、彼らの教えは長い期間を経た今でも鮮明に覚えているのか。現在、部長職として数十人の部下を持つ身になった今だからこそ違う視点で振り返ることができます。つまりは、そこに彼らの「生き様」が確かに存在していたからなのでしょう。だからこそ、当時のことは長い時間を経た今でも忘れることができないのだと思います。

 振り返ってみれば、未熟だったわたしが対面した彼らの中には、自分が何のためにそこに存在しているのかということに対する強い「信念」のようなものが存在していました。だからこそ、幼いわたしの心に発する言葉が強く響いたのかもしれません。

 そして時は流れ、わたしも組織の重職を担うようになったことにより、あの当時の教えはどの業界でも通用する普遍的な「社会人として大切なこと」だったのだと本書の執筆を通じ、改めて受け入れることができたのでしょう。

 16歳で右も左もわからない状態で芸能界へと飛び込んでから「人生=仕事」意外はありえないものだと思っていました。周りの売れないタレント仲間はわたしと同じように不遇な日々を確かに積み重ねてはいた。でも、そこには自らの夢を真剣に追っているのだという確固たる誇りが存在していました。

 ところが、26歳という遅さでサラリーマン社会へと転身した後、自分の人生の目標を定義せぬまま仕事と向き合っている人があまりに多いことに衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。自らの目標が無いだけならまだしも、「わたしはさも被害者である」みたいな顔をして社会組織の中で仕事をし、給料を貰っている人がいる。これはわたしにとって信じがたいことであったのです。

 もちろん「学歴」「職歴」「業界知識無し」という状態で変化の激しいIT業界の技術職へと転身したわけですから当初は茨の道、失敗も多々繰り返しました。ですが、最終的にはきっと勝てる、負けるわけがない、その気持ちだけはありました。

 結果としてスピード昇進を重ね、何度かの転職の末、32歳という若さで部長になりました。前職の係長から飛び級で部長です。ですからわたしは課長の経験もないまま、約40人の部下を持つことになったのです。

 売れない俳優時代、20代半ばまで日給5千円の日雇い派遣で働いていた男が、サラリーマン転身後、わずか6年でこのような立場になったわけですから、芸能界時代に徹底的に叩き込まれた仕事に対する「心構え」というものが、どれだけ大切なものだったかという点については、本書を通じて理解いただけるのではないかと思っています。

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