考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何かITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)

自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。

» 2012年11月21日 08時00分 公開
[山下竜大,ITmedia]
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 「ITmediaエグゼクティブ勉強会」に永井孝尚氏が登壇。著書である「100円のコーラを1000円で売る方法」の内容に基づいて「改めて、お客さま中心主義について考えよう」と題した講演を行った。

お客さまは神様か?

永井氏

 「最近、どうしても欲しいと思い買ったモノは? そのときのほかの選択肢は? また買おうと思った決め手は何か?」永井氏は、冒頭で勉強会の参加者に問いかけた。

「モノを買う判断基準は、価格や機能、お気に入り、価値観、利便性などさまざま。しかし価格や機能で選ぶのは少数であり、多くは価値観や利便性となる」(永井氏)

 これは消費者視点からの購買動向であるが、企業視点に置き換えると自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではなく、いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。このお客さまが買う理由、購入により得ることができる価値の組み合わせが"バリュー・プロポジション"である。

 「われわれは消費者でもあり、お客さまのことを理解するのは簡単なはず。しかしこれが難しいのが現実である」(永井氏)

 よい製品を提供すれば必ず売れるわけではない。それでも製品担当者は、「お客さまはきっと分かる」「使えばきっと分かる」「使い込めば分かる」「実は分かっていないことにきっと気がつく」と考えがちである。

 しかし同じ製品担当者が、一歩外に出て商品を購入する場合には、「分かっていない」「どこがいいのか?」「どれも同じ」「欲しいモノがない」と考えている。

 「例えば、1年間に発売される清涼飲料水は2000種類以上ある。つまり企業側からみればオンリーワンの製品でも、消費者側からみると全体の中の1つでしかない」(永井氏)

 これは清涼飲料水に限った話ではなく、あらゆる業界で「他社製品に比べてこんなにいい」「性能が他社製品の5倍」など、顧客を忘却した商品中心、競合中心、価格中心の戦略を展開する。永井氏は「お客さまが欲しいのは、4分の1インチのドリルではなく、4分の1インチの穴である」と言う。

 「しかしお客さまは"私が欲しいのは4分の1インチの穴だ"とは教えてくれない。そこで本当に欲しいモノは何かということを考え抜くことが必要になる。ただしお客さまの言いなりになってはいけない。また他社がやっていてもお客さまが求めていないことはあえて排除し、自社だけの価値に注力することが重要になる」(永井氏)

怖〜い価格勝負

 製品の価値で勝負ができない場合には、価格勝負になってしまう。価格勝負がよい場合もあるが、非常に怖い一面も持ち合わせている。

 「価格勝負が怖い理由は3つ。価格勝負で勝てるのが業界トップシェアの1社のみであること、価格に敏感な顧客が集まること、優良顧客が離れることだ」(永井氏)

 業界トップシェアの1社のみが勝てるのは、ほかの誰よりも同じ商品を低コストで作ることができるからだ。またいつも一定金額であれば継続的に売れるものが、価格勝負をすると特売日にのみ顧客が集まってしまう。さらにA店で定価で買った商品と同じ物が、B店で半額で売っていたとすると、定価で買ってくれる優良顧客が離れてしまうことになる。

 「価格勝負と価値勝負のどちらを選ぶかということになる。例えば価格勝負は、社内の値引き交渉力があれば可能だが最安値の企業だけが勝ち残る。一方、価値勝負は、顧客との対話力や提案力が必要であり、実力しだいで高付加価値の企業が勝ち残る。最大の差は価格勝負が低収益なのに対し、価値勝負では高収益が期待できることだ」(永井氏)

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