声のスイッチ「横隔膜」を鍛えてビジネスボイスを手に入れるITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)

歌うことと話すことは別のことのように思われているが、何かを人に伝えたいという気持ちは歌も話すことも同じ。声が出ると自信もつき、心から言葉があふれてくる。

» 2013年04月01日 08時00分 公開
[山下竜大,ITmedia]

 アイティメディアが開催している「ITmediaエグゼクティブ勉強会」にボイストレーナーで合唱指導者、ピアニストでもある永井千佳氏が登場。合唱指導者・ボイストレーナーとしてのノウハウと企業におけるプレゼンテーションの経験を生かした声の出し方に基づいて、「ビジネスリーダーのための安心、信頼の声を作る」と題した講演を行った。

歌もプレゼンテーションも同じ

永井千佳氏

 「わたしは、本当は人前で話をするのがとても苦手。講演開始5分前の案内を聞くと逃げて帰りたくなる。初めて企業人の前でプレゼンテーションをしたのは2011年のこと。つい最近のことだ。当初は名だたる企業の社長やコンサルタントを前に、緊張して声が出なかったが、肝を据えたらいきなり声が出るようになった」(永井氏)

 歌うことと話すことは別のことのように思われているが、何かを人に伝えたいという気持ちは歌も話すことも同じ。自ずと「歌もプレゼンテーションも同じところでしゃべるのだ」ということに気がついた。声が出ると自信もつき、心から言葉があふれてきた。「聴講者も本当に楽しそうにわたしの言葉に耳を傾けてくれ、非常に良い相乗効果が生まれた」と永井氏は当時を振り返る。

 この経験から企業で研修を始めることになり、そこで誕生したのが「ビジネス・ボイストレーニング」である。

 ある企業でのこと、社長から技術は一流だが話が不得意なプログラマーがいるという相談を受けた。当初はプログラマーという職業がどのようなものか分からなかったが、話を聞くとピアニストと非常に似ていることに気がついた。永井氏は、「プログラマーもピアニストも鍵盤(キーボード)の前で誰ともしゃべらず、1人黙々と自分の仕事をします。これを続けると本当に人としゃべれなくなります」と言う。

 ビジネス・ボイストレーニングで目指すのは、誰もが持っている「声のスイッチ」を使い、それを入れること。「プログラマーの母親がピアノの先生で、そのプログラマーも音楽が好きで、ピアノを習っていたという同じ趣味が声のスイッチを入れた」と永井氏。後日、相談者である社長から、プログラマーが明るくなり、積極的にコミュニケーションできるようになったと感謝されたという。

「声のスイッチ」はどう入れればいいのか

 ボイストレーニングでは、トレーニングの量に比例して少しずつ声が出るようになるわけではない。トレーニングを積み重ねていくうちに、ある日突然、声のスイッチが入り、声が出るようになる」と永井氏は言う。スポーツなどは練習しただけうまくなるというが、声に関しては、その法則が当てはまらない。

 声のスイッチを入れるということは、コップに注いだ水があふれ出すようなイメージ。コップの大きさは人それぞれなので、いつあふれ出すかは分からない。

 「人は生まれながらに"オギャー"と泣く素晴らしい声を持っていたのに、先のプログラマーのように大人になるにつれ声が出なくなる。それは人生いろいろだから。人は大人になるに連れ、"人前で大きな声を出してはいけません"と教えられる。その繰り返しで、声がどんどん厚着をして出なくなっていく。そこでこの厚着を1枚ずつはがしていくのがボイストレーニングで、このボイストレーニングの基本が"腹式呼吸"である」(永井氏)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆