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» 2013年06月06日 08時00分 UPDATE

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:セミナーで、600万円以上をドブに捨てた経験から学んだ部下マネジメント (1/2)

コミュニケーションのテクニックは、無理に使ってもコントロール使用としていることを見破られる。善意の気持ちを持って使うことが大事。

[齊藤正明,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。


 わたしは「自分を磨かなければ!」と焦っていた時期があり、600万円以上、セミナーなどに参加し続けていました。

 しかし、それによってかえって状況を悪くしてしまったという、恥ずかしい経験をしています。今回はわたしの失敗例を元に、リーダーとして必要なコミュニケーションの参考にしてもらえたらと思います。

130606book.jpg 「自己啓発」は私を啓発しない

 さてこの話は、今からもう何年も前ことです。「自分はもっと、プロジェクトのチーム運営がうまくできるようにならなければ!」と悩んでいました。

そこでインターネットでセミナーを検索すると、「元カリスマホストが教える!人を自在に操る秘密のコミュニケーション」というセミナーを見つけたのです。

 そこには白いスーツを着て、茶髪というより金髪に近い、「いかにも!」という感じの人が指を前に突きだしたインパクトのある写真が出てきました。

その講師は昔、ホストとして名を馳せ、外車やマンションを貢いでもらったなど、すごい経歴が記されており、「このコミュニケーションを学べば、人を自由に操れます!」というものでした。

 「嘘くさいなぁ……」とは思いながらも、返金制度もあったので、おもしろ半分で参加してみることにしました。

 それからしばらくしたセミナー当日のことです。会場はホストらしいというのか、新宿の歌舞伎町近くです。司会役の人が講師の紹介をして、扉を開けて出てきたのは、ホームページと同じ姿の全身から「ホストです!」というのが分かる白のスーツを着た人が現れました。

 「えー。今日はね。来てもらってね。ありがとうございます。えー、今日はね。みなさんに、人を自在に操る方法っていうのをね。えー、教えたいと思います」

 あがっているのか、途中にはやたら「えー」という言葉が入り、聞いているこちらが心配になるような出だしでした。自己紹介など、一通りの話をしていると、段々緊張がとれてきたのか、いきなり、「マジックゥ〜、スマイル!!」と叫びました。急な出来事だったので、参加者全員がビクッとしましたが、今思えば退屈させないテクニックだったのかもしれません。

 さて、「マジックスマイル」とは何かというと、実際の説明は長かったため、ここでは結論だけ言えば、「人と話すときはいつもニコニコしていると好感度が増し、人が寄ってきます」というものでした。この笑顔がうまいかどうかで、外車を買ってもらえるかどうかが決まるそうです。

 次には「マジックゥ〜、アクノレッジメント!!」と叫びました。

 この解説も手短に言えば、「アクノレッジメント(承認)」という意味のとおり、相手が何かを言ったら、「うん、うん」と相づちをいれたり、相手の言うことを否定や批判をせず、承認することが大事だとのことでした。これができると、マンションを貢いでもらえるそうです。

 車を買ってもらうかはさて置き、「教えてもらったことは使えそうだな」と思ったので、翌日、チームのメンバーに話しかけてみました。いつもは無表情な顔をしているわたしは、メンバーのそばに寄って、「やぁ、調子はどぉ?」とニコニコとしたつくり笑顔で聞いてみました。

 すると相手からは、「お金なら貸せないですよ。わたしも今、厳しいですから」とピシャと言われてしまいました。わたしはお金を無心しに来たのと間違われるとは予想もしておらず、大きなショックを受けました。

でも、セミナーで学んだ「人を操る技術」はまだ残っています。それは「承認してあげること」です。

 先ほどは、自分から話しかけて失敗したので、「今度は、話しかけられるのを待とう」と、待つ戦術に切り替えました。こうして「待とう」と思ったときほど、報告や連絡がきません。そんなイライラをできるだけ見せないようにして、可能な限りポーカーフェイスで仕事をしていると、ひとりの社員が、「あのぉ……」と遠慮がちに声をかけてきます。

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