連載
» 2013年08月26日 08時00分 UPDATE

ビジネスマンの悩み相談室:「思考の枠」を緩める (1/2)

思考の枠を外すと人の人生は豊かになり、外せないと全ての思考を停止させる。思考の枠とは何だろうか。

[細川馨(ビジネスコーチ),ITmedia]

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 この夏は凄まじい猛暑が続いたが、皆さまはどう過ごされただろうか。この連載を通して何度か「思考の枠」について話してきた。最近思考の枠にとらわれている人に出くわす機会が何度かあり、今回改めて話したい。

<事例>

 ある損害保険会社のZ営業部で、30代半ばの部長が就任した。彼は新卒のときから輝かしい成績を収め、社内の数々の賞も受賞してきた。その実績が買われ、今回部長に抜擢されたのだ。その部署には入社1年目のB君、20代後半のCさん、30代半ばのDさん、そして50代のEさんが所属している。就任した初日、全体会議を開くことにした。A課長は意気揚々と抱負を述べ、みんなの意見を聞いてみることにした。

 A課長:皆さん、新しく課長に就任しました〇〇と申します。若輩者ではありますが、皆さまの力を借りながら、ぜひ頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。つきましては、今後の方針について話し合えたらと思います。B君、最近仕事はどうですか? 何か感じることはありますか?

B君:先輩方にサポートしてもらい、代理店さまの要望を聞き取り、うまい提案ができるようになってきました。引き続き、スキルを磨いていけたらと思います。

 A課長:Cさんはどう?

 Cさん:代理店さまに話を聞くと、ネットでいろいろなサービスを提供している会社に関心を持ち始めているお客さんが多いようです。それが少し懸念されます。

 A課長:Dさんはその点についてどう思いますか?

 Dさん:確かにそれは私も気になっていました。先日ある代理店に行ったところ、お客さまの要望をいろいろお聞きして提案したものの、あまり乗り気ではなく、後日別のネットの会社に変えたと言われたそうです。

 A課長:そうですか。それは何か対策が必要ですね。Eさん、どう思われますか。

 Eさん:え、そんなの気にする必要ないでしょ。私たちは長年代理店さまと培ってきたパイプがあり、その代理店は地元のお客さまと信頼関係を築いています。動じる必要はないと思いますが。

 A課長:そうでしょうか。手もとにある数字を見てみたのですが、この半年は売上がわずかながら落ちてきていますね。それは何か影響しているのではないでしょうか。Eさんがリーダーになって、B君、Cさんと一緒に詳しく調べてもらえませんか。

 Eさん:え、私は手持ちの仕事でいっぱいで、そんな余裕ありませんよ。ネットよりもやはり対面ですよ。私はそれでこの世界を30年間生き延びてきました。会うからこそ信頼関係が築けるのです。やる必要ありませんよ。

 A課長:でも……。

 Eさんはそれ以上、口を聞きたくないと言わんばかりに、押し黙ってしまい、 A課長は何も言えなくなってしまった。最年長のEさんを立てて主導してもらおうと思ったのに、どうしたものか、頭を抱えてしまった。


思考の枠が全ての思考を停止させる

 私は、ビジネスコーチの仕事を長年やっているが思考の枠をはずし、目標の達成を助け、成功に導くことが役目だと考えている。思考の枠とは何だろうか。何度か話しているが、一言で言うと、固定観念である。「〇〇はこうあるべき」「この人は〇〇な人だ」などと決めつけることである。思考の枠を外すと人の人生は豊かになる。ただ、一方で、思考の枠を外せないと、全ての思考を停止させる。

 思考の枠の典型が、過去に縛られることである。

  • どこどこで私はすごかった。
  • あのときの自分が忘れられない。

 確かにそのときは成果を残し、すごかったのかもしれないが、すでに過去の話である。そのときの自分が忘れられないのかもしれないが、それに縛られていると、何も進めない。事例に出てくるEさんは「ネットよりもやはり対面ですよ。私はそれでこの世界を30年間生き延びてきました。会うからこそ信頼関係が築けるのです」と決めつけてしまっている。もちろんこれまではそれでやってこられたかもしれないが、今は世の中が大きく変化し、その変化のスピードが激しい。以前通じていた方法が通用しなくなっている。思考の枠にとらわれていると、取り残される。

 一方で、次のような思考の枠にとらわれている人もいる。

  • 忙しいから自分はできない。
  • 私にはその能力がないのでできません。
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