誰でもできる聞く力、パワーアップ作戦――最初の一言のセオリービジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

「話上手に売れる営業なし」といわれるゆえんは営業は聞くことの方が重要だから。顧客の求めていることに耳を傾けないで売れる時代は終わった。ただ、聞くことの重要性は理解しているものの、実際にどうすれば聞く力が向上するのか。

» 2013年11月07日 08時00分 公開
[大塚 寿,ITmedia]
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 どんな仕事でも高い業績を出す人は「聞く力8割、話す力2割」の人に違いありません。意外なことにビジネスの世界では「話すこと」に自信があるがゆえに、失敗してしまう人もたくさんいます。

 例えば、「話上手に売れる営業なし」といった言葉を聞いたことがあるでしょうか。普通に考えると、営業職でも販売職でも話の上手な人が高い業績を上げているように思いがちですが、実際はそうではありません。

仕事は「聞く力8割、話す力2割」

1万人の体験から学んだ「聞く技術」

 一般的には見た目も精悍、見るから営業パーソン然としいて、弁舌さわやかに語る人が営業の鑑のように思われているに違いありませんが、どこの会社でもトップセールスと言われている人、売場の販売成績でトップを競う人たちというのは、意外にそんな風に見えない普通の人ほうが多いものです。

 買う側から考えると、やはり自分の要望や期待していることを十分にくみ取り、あるいは親身になって相談に乗ってくれるのが肝心なはず。その上でその個別のニーズに対して、的確な提案をしてくれたり、あるいは期待を上回るような解決策を示してくれたりすることを求めているのではないでしょうか。

 「話上手に売れる営業なし」といわれるゆえんは、営業は聞くことの方が重要だからです。顧客の求めていることに耳を傾けないで、自分の話術で売ることができたのはモノが不足していた時代やお金が有り余っていたバブル時代の売り方であって、今では化石のような方法でほとんど通用しないでしょう。

聞く力を高めれば、会話力はグングン育つ

 ただ、聞くことの重要性は理解しているものの、実際にどうすれば聞く力が向上するのかはあまり知られていないところです。

 一般的な例をあげると、デートに誘う相手に対し「今日何が食べたい?」という質問では、相手の真意という重要情報を聞き出すことはできません。

「代官山の暖炉のある洒落たフレンチと、高田馬場の意外性の塊みたいなイタリアンと、しっぽり新橋の隠れ家系個室居酒屋だったらどれがいい?」という聞き方のほうが相手の真意をつかむ確率が高くなるばかりでなく、その後のリスクを回避できるようになります。

 例えば、男性がこの「今日何が食べたい?」という質問を女性に投げかけたとしましょう。だいたいこう質問されると「イタリアンがいいなあ」とか答えるしかありません。しかし、このイタリアンという情報だけでは、どんなイタリアンなのかが共有できていないので、店選びを失敗してしまうリスクもあるのです。

 雰囲気が楽しめるイタリアンを望んでいる女性に対し、味と価格のリーズナブルさを優先させたイタリアンの店を選ぶようでは、「この人とは合わない」という結末になってしまうのがオチです。そんな最悪な事態を回避するため使えるのが、「高田馬場の意外性の塊みないな」といったような「店の内容が分かる形容句」なのです。この簡潔な補足情報によってどんなイタリアンなのかというイメージが共有でますので、大外れにはならないでしょう。

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