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» 2015年02月18日 08時00分 UPDATE

気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀:「塚田農場」はなぜ生産性が高いのか──社員が意気に感じ楽しんで仕事をすること (1/3)

自社農場をつくったのはメーカーや問屋を通して仕入れるよりも、安いという発想だった。自社農場が地域活性化につながり、社会に貢献している意識が社員を奮い立たせ生産性向上につながった。お金のためではなかった。

[聞き手:中土井僚(オーセンティックワークス)、文:牧田真富果,ITmedia]

 自社農場を保有し、高品質な地鶏を低価格で提供する居酒屋チェーン「塚田農場」を展開するエー・ピーカンパニー。生産機能を備えた新しい業態によって、地域活性化に貢献し、多くの人々の支持を集めている。「はじめから社会貢献を事業にしようと考えていたわけではなかった」という代表取締役社長の米山久氏。エー・ピーカンパニーを起業し、新しい景色を切り開き続けてきた組織の推進力の源はどこにあるのだろうか。

高品質の地鶏を低価格で提供するという新しい挑戦

中土井:エー・ピーカンパニーといえば、居酒屋の「塚田農場」が有名ですよね。これまでにない新しい業態の居酒屋チェーンだそうですが、具体的にどのような取り組みをしているのですか。

150218yoneyama.jpg 米山久氏

米山:私はよく「六次産業化」と言っているのですが、塚田農場は、生産機能、メーカー機能を兼ね備えている独自の飲食業の業態をとっています。通常の飲食店では、問屋で仕入れたものを加工して売るだけです。私たちは自社農場を持つことで、他店との差別化を図りました。お皿に乗るまでのストーリーをみんなで共有し、商品のよさを徹底的に分かった上で提供しています。これまでの飲食店でスタッフが言えることは「うちの店の料理長の自慢の作品です」ということぐらいだったと思います。一方、うちのスタッフは生産者・生産現場も知っていて、商品一つひとつのこだわりに誇りを持っている。それでより踏み込んだ接客ができるようになりました。これが塚田農場の差別化になっています。

中土井:どのような思いで今の事業を始めたのでしょうか?

米山:飲食業をしようと決めたとき、地鶏のことが頭に浮かびました。鶏の中でも最高級の地鶏は、確かにおいしいのですが、当時、食べられるお店は限られていて、銀座や六本木の高級店でしか食べられませんでした。地鶏をもっとたくさんの人に食べてもらえるようにしたい。そのためにはどうしたらいいかを考えた結果、生産者と飲食店を直接結びつける、自社農場を持つという今の業態にいたりました。

 高品質高価格、低品質低価格は当たり前。これまでにない高品質低価格を実現したいと考えました。私は何をするにしても、オリジナリティのある新しい提案をしたいという思いがあります。いかに人と違うことをするか、今まで誰もやっていないことを見つけたときにいつもワクワクします。

利益を上げることにフォーカスしていた時代もあった

中土井:飲食業の前には何か他の事業に携わっていたのですか?

米山:以前は、不動産業や携帯電話の代理店などをしていました。社会的に意義のあることや本当に実現したい理想を追求するというよりも、生産性を高め、キャッシュを得るという意味での成功を求めていたように思います。

 携帯電話の代理店業をしていたときは、二次代理店から仕入れたものを営業によって売り、利益を得るというビジネスでした。当時は、生産性を高めて利益を上げることにフォーカスし、収入の面で自分の見たことのない景色を見てみたいというモチベーションで動いていたように思います。事業や組織としての満足度は全くありませんでした。

 そうやって事業を回し、人を雇って組織をつくっていく中で、金儲けをするだけが会社の役割ではないと感じるようになりました。金儲けを目的にしている人材は、他にもっと稼げるところがあればそちらへ行ってしまいます。これでは、組織の継続性は望めません。人材が流出するにも関わらず、営業をし続けなければ事業が回らないので、とても不安定な組織でもありました。

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