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» 2015年10月26日 08時00分 UPDATE

どこまでオープンにし、どこまでクローズドにするかがオープンイノベーションの経済学 (1/2)

うちの会社の商品はなぜ売れないのか。理由は、簡単で良くないからである。良い、悪いを決めるのは企業の視点ではなく、顧客の視点である。顧客により良い価値を提供するためには、外部の技術やアイデアを活用するオープンイノベーションが有効になる。

[山下竜大,ITmedia]

 「オープンイノベーション戦略」をテーマに開催された、エグゼクティブ・リーダーズ・フォーラム(ELForum)「第45回 インタラクティブミーティング」に、一橋大学 イノベーション研究センター 米倉誠一郎教授が登場。「オープンイノベーション・マネジメント」と題して、企業や組織の垣根を越え、知識や技術を集約し、顧客により良い価値や商品、サービスを顧提供する手法であるオープンイノベーションについて紹介した。

外国人観光客が1300万人を超えたが……

151021yonekura.jpg 一橋大学 イノベーション研究センター 米倉誠一郎教授

 日本に観光に来た外国人の数が、2014年に1300万人を超えたという報道があった。しかし、米倉氏は、「1300万人という数字は、タイ、マレーシア、マカオ、韓国よりも少なく、新聞で大騒ぎするほどの数字ではない」と話す。日本には、東京、大阪、京都、福岡など、数多くの観光地があり、もっと多くの観光客が訪れても不思議ではない。では、なぜ日本はほかの国に比べて観光客が少ないのだろうか。

 「同じ状況は企業にもある。よく"うちの商品はこんなに良い商品なのになぜ売れないんだ"という社長がいる。答えは簡単である。良くないから売れないのである。良い商品か、悪い商品かを決めるのは、その会社の社長でもエンジニアでもなく顧客である。日本はなぜこんなに良い国なのに、観光でほかの国に負けているのかといえば、良くないからである。いくら"お・も・て・な・し"とか言ったところで、顧客の視点が大事なのである」(米倉氏)。

 例えば、中国からの観光客が、沖縄でもっとも購入したおみやげは何か。意外にも「夕張メロン」である。日本人は「なぜ沖縄で夕張メロンをおみやげに買うんだ」と思うだろう。しかしロサンゼルスの観光みやげにイチローのTシャツを買ってきた友人に「イチローはシアトルだろ! ロスで買ってくるのはおかしい!」と言う人はいない。つまり顧客が何を買いたいと考えているかが重要であり、沖縄で夕張メロンを買うのはおかしいと思うのは「プロダクトアウト」の考え方なのである。

 「観光客が何を考えているのか、何を求めているのか、なぜマレーシア、タイ、ポーランド、韓国に観光で負けているのかを、観光客の視点で考え、産官学のアイデアや技術を持ち寄って、新たな価値やサービスを提供しなければならない」(米倉氏)

「見たい未来」と「見たくない未来」

 Googleが推進している自動運転技術に本気で取り組むと自動車事故はなくなる。自動車事故がなくなれば、いまのように重く頑丈な自動車を作る必要はなく、本当に重要な部分だけを炭素繊維で作り、あとはアルミなどの軽い金属で作ればよいことになる。これにより、現在1トン近い自動車が、半分の重さの500キログラムになれば、3000CCのエンジンを搭載する必要もなくなり、まったく違う世界が登場する。

 またデータを解析すると渋滞の3割はソフトウェアで解消できる。もし自動車をソフトウェアで制御し、渋滞が解消できるのであれば、地下鉄や公共交通機関ではなく、バスを活用した交通機関の整備が有効になる。

「これにより、何千億円もコストを削減できる。削減したコストを教育などに投資するほうがよっぽどいい。想定外の未来が来ているのに、見たい未来しか見ていないのが自動車業界である」(米倉氏)

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