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» 2015年11月25日 08時00分 UPDATE

経営トップに聞く、顧客マネジメントの極意:家事代行サービスを日本のインフラに! 高い満足度を支えるのは、人間味のあるオーダーメイドサービス (1/2)

日本に新しい暮らし方を提案したい。辛く孤独な思いをしながら、育児に仕事に奮闘している女性たちが頼れる存在になりたかった。母であり、妻であるその人の笑顔のために。

[聞き手:井上敬一、文:牧田真富果,ITmedia]

 ベアーズは、「女性の"愛する心"を応援します」というスローガンのもと、家事代行サービスを行う会社だ。高橋ゆき専務が自らの原体験から「家事代行サービスを日本の新たな産業にする」という強い使命感に突き動かされ、夫の高橋健志氏が起業。妻としてナンバー2として創業期を支え、それまで日本になかった新たなサービスをゼロから立ち上げ、現在では年間取扱件数は30万件にのぼる。お客さま感動度120%を目指し、成長を遂げた。起業ストーリー、ベアーズらしさについて話を聞いた。

家事代行サービスによって、日本に新しい暮らしを提案

151125ttakahashi.jpg ベアーズ 高橋ゆき専務

井上 「家事代行サービス」とは具体的にどのようなサービスなのですか。

高橋 家事代行サービスは家事のありとあらゆることを家族に代わって行います。危険が伴うこと以外でしたら引き受けています。掃除、洗濯、料理、買い物、子どもの面倒を見たり、草木の手入れなども行います。お客さまの要望に応じて、区役所に代理人として書類を受け取りに行ったり、子どもの運動会や発表会などで動画撮影を行ったこともこれまでにありました。

 もうひとつの事業の柱として、家事代行サービスとは別に、ハウスクリーニング事業も展開しています。専門知識を持ったスタッフが専用の機材や洗剤を用いて、特定箇所の清掃を行う、特別清掃といわれるサービスです。家の外壁のクリーニングや頑固な排水溝の汚れ取りなど行っています。

 現在、家事代行サービスを担うベアーズレディーは約4400人。東京、神奈川、大阪、名古屋、福岡、札幌に支店を構えています。起業してから丸16年が経ち、2015年10月からは17期に入っています。

 私たちは、日本に新しい暮らし方を提案しようと家事代行サービスを始めました。辛く孤独な思いをしながら、育児に仕事に奮闘している女性たちがたくさんいます。そんな日本の困っている女性たちが頼れる存在になりたかったんです。心に余裕を持つことで、いつも笑顔で家族と接することができる。笑顔でいることこそが、母であり妻であるその人にしかできない最も重要なことです。

スーザンとの出会いによって、子育ては楽しくて幸せなものに

井上 「家事代行サービスを日本の新たな産業にする」という使命感を持つようになったのは、ご自身の経験からだそうですね。どのようなきっかけで起業されたのですか。

高橋 今から20年前の1995年、私は夫と共に海を渡り、香港の現地法人で働いていました。ほどなくして子どもを授かり、働きながら育てるために、スーザンというメイドさんを家へ迎え入れました。そのスーザンとの出会いと、共に暮らした日々が起業のきっかけになっています。

 その頃の日本では環境が整っておらず、子どもを育てながら働き続けることは大変困難でした。子どもができて育児休暇をとった先輩たちは、ほとんどが戻ってきませんでした。しかし、香港では違いました。子どもが生まれても、まわりの女性たちは子育てをしながら、フルタイムで働き続けていました。

 香港には、スーザンのような素晴らしいホスピタリティを持った女性たちがたくさんいて、家庭を支えてくれていました。私も、スーザンのおかげで、時間に、心に、余裕を持って働き続けることができていました。心のゆとりができ、いつも夫に優しく接し、子どもに対しても笑顔でいられました。ひとりの女性として、自分の身なりを整えることもできました。仕事か子育てどちらかではなく、私の人生すべてが大切だと思えたのは、スーザンがいてくれたおかげでした。

「日本に新たな産業を創る」という決意のもと、家事代行サービスをスタート

井上 香港と日本では育児環境にそんなにも大きな違いがあるのですね。帰国後に、ギャップを感じることはありましたか。

高橋 日本の友達から子育ては辛くて、苦しくて、孤独だと聞いていました。それなら日本でもスーザンを探せばいいと思っていました。しかし、香港の中流家庭では当たり前のように利用できるメイドサービスが当時の日本にはありませんでした。もっと気軽に使える家事代行サービスがあれば、絶対にたくさんの人が幸せになれる。日本が香港に追いついていないだけだと考えました。そんなとき、夫にいわれたのが「日本に新たな産業を創ろう」という言葉でした。その言葉に使命感を感じ、私たちは家事代行サービスを始めました。

井上 現在の規模になるまでには、どのような苦労がありましたか。

高橋 やはり、家事代行という概念を啓蒙普及していくことが大変でした。家事は女性の仕事。家事を他人に任せるなんておかしいという意識の人が多かったんです。最初の仕事は、家事代行サービスとは何かを語り歩くことでした。まずは啓蒙活動を公園でスタートさせました。

 「あなたは愛する人のためにいつも笑顔でいられていますか。家事代行サービスは、あなたが愛する人のためにいつも笑顔でいるお手伝いをします。子育ては大変なことの連続です。困っているときに誰かに助けを求めることは悪いことではありません。あなたが大変なとき、私たちベアーズがお手伝いできたらうれしいです。」と出会う人たちに伝え歩きました。そうしているうちに、だんだんと人が集まって話を聞いてくれるようにななりました。

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