担当以外のことは決めないドラッカーに学ぶ、成功する経営チームの作り方(1/2 ページ)

先にお伺いをたてないと進めない習慣が組織の文化になっていくと、組織は成果をあげる力を失っていく。

» 2016年01月18日 08時00分 公開
[山下淳一郎ITmedia]
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 第2回は、「経営チームがチームとして機能するために必要なことのひとつ、トップ1人で仕切らない」ということをお伝えした。今回は、「担当以外の分野について意思決定しない」というテーマで経営チームが機能するために必要な2つめのことをお伝えしていく。

「社長はやれと言っていたが会長はダメだと言っていた……」

「部長の方針で進めていたが社長でひっくり返ってしまった……」

「副社長が決定したことが社長で却下されてしまった……」

「専務はダメだと言っているが社長はいいと言っている……」


 これは、まさにトップマネジメントチームの意思決定の混乱だ。このようなことは、あなたの会社でも起こっていることと思う。過去、私も幾度となくそんな板挟みのシーンに遭遇した。そして、現在もお客さまの会社でよく耳にする問題だ。このようなことが頻繁に起こると、どんな組織になってしまうのか。「先にお伺いをたてておこう」という習慣が組織の文化になっていく。その結果、組織は成果をあげる力を失っていく。

 重要なことを事前に確認しなければならないのは当然だ。しかし、重要でないことまで、「先にお伺いをたてておこう」ということが習慣になれば、優秀な人が力を発揮できない。また、責任をもって決めたことを別の人間が勝手に変えることをよしとしてしまえば、人と人の間に摩擦が生れ、トップマネジメントチームはチームとしてその機能を果たせなくなる。

 あなたは、パソコンがブルースクリーンになって困ったことが一度はあると思う。経営チームの意思決定の混乱は、まさに会社のブルースクリーンだ。困るのは現場で仕事をする社員だ。経営チームの意思決定に混乱があれば、現場の仕事はフリーズし、事業は減速する。そうならないためにトップマネジメントチームはどうあるべきか。ドラッカーはこう言っている。

 トップマネジメントチームのメンバーは、自らの担当以外の分野について意思決定を行うことはできない。そのような問題が向こうからやって来たならば、直ちに担当メンバーに回さなければならない。」

 さまざまな確認を得るために、物事の多くが現場からトップマネジメントチームに上がってくる。そこで、要請に対して、逐一対応してしまえば、現場は、「やはりこれは上の判断が必要なものだったか。確認しておいてよかった」と思う。そして、やがて何でもトップマネジメントチームにあがってくるようになり、了解を出す専門機関のようになってしまう。

 数年もすれば、現場で判断すべきことがトップマネジメントチームで判断するような組織になってしまうだろう。トップマネジメントチームはまず、「この件は自分たちで判断すべきかどうか」を見極めなければならない。そのうえで、判断すべきことでない仕事であれば、現場に対して、「これは君たちで検討して決めなさい」と、現場に戻さなければならない。

 これと同じことがトップマネジメントチームの中で起こる。先に述べたとおり、「この件は自分が決定すべきかどうか」を見極めなければならない。自分の担当分野のことでなければ、その担当分野の経営チームのメンバーに回さなければならない。

 ドラッカーは、コンサルティングの経験で得た2つの事例を紹介している。1つは、米国の航空機エンジン、医療機器メーカーである、ゼネラル・エレクトリック社のコンサルティングの仕事をしていたときのことだ。ドラッカーはあるとき、ゼネラル・エレクトリック社の研究部門に行った。

 社内では非常に困ったことが起こっていた。研究部門のマネジャーがドラッカーにこう言った。「ある問題に困っている。社長に一言伝えておいてほしい」ドラッカーは社長に連絡を取り、研究部門のマネジャーが抱えていた問題についての説明を始めた。

 すると社長はドラッカーの言葉を中途で遮ってこう言った。「いや、その件なら副社長に話してあげてくれ」ドラッカーが伝えたことについてはもちろん社長も非常に困っていて、その解決策についていろいろ考えを巡らせていた。しかし社長は、その問題は自分が担当している仕事でなかったため、担当者である副社長に伝えるよう促したのだ。

 ゼネラル・エレクトリック社は、その時々の経営チームのメンバーの得意なこと、得意ではないことによって仕事の分担を決めていた。1人が最終意思決定の権限を持ち、もう1人は人事面など社内のマネジメントのすべてを担当し、もう1人は新規事業の開発など、事業全体のマネジメントを担当していた。

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