“売上”は、お客さまの「感謝の量」。顧客志向の営業とは?ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

営業ほど、「ありがとう」をもらえる職種は他にない。その面白さを体験してほしい。

» 2018年03月29日 07時29分 公開
[伊庭正康ITmedia]
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『会社では教えてもらえない 数字を上げる人の営業・セールストークのキホン』 

 さまざまな企業で営業研修の講師をするのですが、いつも思うことがあります。「もっとお客さまに寄り添うと、もっとラクに成果が上がるのに……」と。

 私も営業デビューの頃は、「目標を達成させねば」という焦りと、「お客さまに尽くしたい」という思いが統合できず、ストレスを感じていたことがありました。しかし、お客さまから気付かされました。

 なぜか、モノを売ったはずのお客さまから「ありがとう」と言われるのです。分かったことは、 「営業とは、モノを売ることが目的ではなく、お客さまの“不”を解消する仕事」だということ。いわば、売上の総量は「感謝」の総量でもあると確信したのです。これが、分かれば営業はとても面白い仕事に変わります。「セールストーク・営業のキホン」は、その面白さを体験してほしいとの思いで書いた一冊です。そのエッセンスを「電話営業」「商談のヒアリング」に焦点を当て、紹介します。

そもそも、会いたくなる「営業の電話」とは

 ちょっと想像してみてください。事務所で営業電話を受けてしまった時のことを。面倒くさいと思うのではないでしょうか。そんな時に、「時間は取りませんので、名刺交換だけでも」と言われても、やはり面倒なものは面倒。そもそも、会う理由がありません。

 でも、アポイント率の高い営業は違います。まず、彼らは、徹底的に相手の視点で会話します。私がやっていた求人広告の新規営業の例で解説しましょう。新規への電話でのシーン。(  )内にどんなせりふを言うのか、一緒に考えてみてください。

営業 「Webページで営業職の募集をしているのを見て、お電話をさせていただきました。状況はいかがですか?」

お客さま 「たまに募集もあるので、わざわざ、求人広告を出す必要はないと思っているんだよね」

営業 「(                                )」


 さて、この(   )にどんなトークをあなたなら入れますか? 先にダメな例を紹介しましょう。「そうですか、何人くらいの応募があるのですか?」です。お客さまの立場で考えてみてください。「何で答えなければならないんだ」と、感じてしまいませんか。正解はこの流れになります。

営業 「そうだったのですね。大変、失礼をいたしました。それは、安心ですね。差し支えなければ、お伺いしてもよろしいでしょうか? では、今は不安もなく万全ということですか?」

お客さま 「そりゃ、万全とはいえないけれどね」

営業 「大変、失礼をいたしました。伺ってもよろしいですか。どういうことでしょうか?」


 流れがガラリと変わりました。コツを紹介します。

 まず、1つ目は共感。お客さまは、「今のままでも大丈夫だ」と言っているわけです。お客さまにとっては「問題のない幸せな状況」でもあるわけです。だったら「それは安心ですね」「それは、良かったです」「なかなか、ないですよ」など、その「幸せな状況」に共感をするのが、会話としては自然です。

 2つ目は、気付きを与える、です。「万全ですか?」と尋ねて「万全」なら問題はありませんが、万全でないことは少なくないものです。そこが、お客さまの「不」。解決策や役に立てる情報を提供できることを伝えることこそが「会いたくなる営業電話」の基本になります。

商談の鍵は、お客さまも気付いていない「潜在的な不(問題)」を引き出すこと

 いよいよ、アポイントがとれたら、実際の商談シーン。ここでは、商談の中でも特に重要なヒアリングにフォーカスしましょう。ヒアリングは「状況」を聞くだけではありません。お客さま自身も気付けていない「潜在的な不(問題)」を引き出すことこそが本質です。では、私の営業研修で行うヒアリングステップを紹介しましょう。

【ヒアリングの流れ】

1、まず、「状況」を確認する

2、その次は、「問題」を教えてもらう。(実はね……と打ち明けてもらう)

3、さらに、「リスク」に気付いてもらう。その問題が解決できないとどうなるのか?

4、最後に「プレゼンの合意」。対策があるなら、聞いておきたい、と思ってもらう。

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