ユーザー要求の30%は切り捨てろ!間違いだらけのIT経営(2/2 ページ)

» 2007年11月29日 11時31分 公開
[増岡直二郎,ITmedia]
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「30%カット論」の裏側にあるどうしても外せない大前提

 まずシステム構築側は,ユーザーの要求を全て聞くのが正しいと考えるべきでない。ユーザー要求をコントロールしなければならない。ユーザーは安易に要求を変更してくるものと考えて、要求の30%をカットするつもりで臨んで欲しい。30%に根拠はない。例外的な業務などは、手作業のままの方が良いケースが多い。思いつきのローカルな要求もある。切るべきものが30%位はあるという意味である。ただし、ユーザー要求をコントロールするためには、基本的にユーザー要求を調査し、ユーザー真意を理解する努力をする。ユーザーの考え方が未熟なら、啓蒙する。そのために優れたコミュニケーション力が求められる。

 要求を文書化するとか、要求の変更は早く把握するとか、要件定義決定会議のときは根回しを怠らないなど、技術的な手は当然打たなければならない。 ユーザー側も、節操なく何もかも要求することや、安易に変更することを避けなければならない。あまりに節操がないと、本来不可欠な要求まで軽んじられかねない。

 ユーザー要求の30%をカットするくらいのつもりで行け、というアドバイスには前提がある。

 システム構築側は、基本にユーザーの役に立つシステムを何が何でも構築するという信念を持つこと、そしてユーザーに対してシステムについての正しい取り組み方を説得して、啓蒙することを試みたり、有効な提案を行ったりしなければならない。

 一方ユーザーは、システム導入に他人事でなく、真剣に立ち向かうことだ。

 安易な姿勢を排除して、導入するシステムを自分たちで何としても使い切って効果を出すのだ、という信念を持って取り組まなければならない。

ますおか・なおじろう

日立製作所、八木アンテナ、八木システムエンジニアリングを経て現在、「nao IT研究所」代表。その間経営、事業企画、製造、情報システム、営業統括、保守などの部門を経験し、IT導入にも直接かかわってきた。執筆・講演・大学非常勤講師・企業指導などで活躍中。著書に「IT導入は企業を危うくする」(洋泉社)、「迫りくる受難時代を勝ち抜くSEの条件」(洋泉社)


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