ゲーム機が突入する「端末プラットフォーム戦争」新世紀情報社会の春秋(2/2 ページ)

» 2008年04月08日 07時00分 公開
[成川泰教(NEC総研),ITmedia]
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ゲーム市場が抱える問題と今後の展開

 この様に、ゲームの世界はウェブやメディア、AVの世界に急速に接近しており、もはや単なる娯楽の枠を超えて、情報社会の新しい展開に重要な要素を提供しようとしている。こうした状況を踏まえて、冒頭であげた3社の戦略について今後の展開を考えてみる。

 CellプロセッサとBlu-rayディスクのポテンシャルを着実に膨らませ、ポストPCとしてのホームメディアセンターを狙うソニーに対して、マイクロソフトがXbox360とWindowsで築いた強力なプラットフォームベースに、Google対抗のLive戦略を連携させてそれを真っ向から受ける展開になるだろう。この争いに別の領域から参戦してくるのが、アップル(そして恐らくはそれを支援するGoogle)ということになる。

 一方の任天堂は、新たに開拓した子供、主婦、シルバーやファミリー等の市場に対して、教育、医療、実用といった軸からのアプリケーションやコンテンツを継続的に投入する路線を維持する中で、異業種分野との連携をさらに強化してゆくことになる。ITベンダー各社に対しては当面はオープンなスタンスを取ることになると思われるが、端末プラットフォーム面での技術的な劣勢をどのように克服してゆくかは、徐々に重要な課題として浮かび上がってくるだろう。

 ゲームの世界は、ウェブ、メディア、AVと融合しながら、情報社会全体を構成する大きな要素に進化してゆく。

プロフィール

なりかわ・やすのり 1964年和歌山県生まれ。88年NEC入社。経営企画部門を中心にさまざまな業務に従事し、2004年より現職。デバイスからソフトウェア、サービスに至る幅広いIT市場動向の分析を手掛けている。趣味は音楽、インターネット、散歩。


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