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» 2008年05月14日 08時52分 公開

景気は極めて微妙な状況だが、何とか踊り場でとどまる景気探検(2/2 ページ)

[ITmedia]
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ゴールデンウィークの人出は史上最高

 今年の東京の桜の開花状況も、足もとの日本の景気が極めて微妙な状況にあること示唆しているようだ。今年の東京の開花は、第1回目の予測だと3月27日とほぼ平年(3月28日)並みとされていたのだが、実際には早まり、3月22日の開花となった。気象庁が1953年に生物観測調査として開花のデータを採り始めてから、3月21日までに東京の桜が早く咲いた年は8回あるが、すべて景気拡張局面であった。早く桜が咲くと、春物衣料などの動きもよく景気も良くなるのだろう。ところが、今年は1日遅れの3月22日であった。3月22日開花の過去の例では、1976年は景気拡張局面だったが、1977年は後退局面であり、どちらかはっきりしない。一日違いで不透明な状況だ。

 プロ野球セ・リーグの景気に与える影響もはっきりしない。人気球団の阪神が強いことは景気力のプラス材料だが、開幕以来5月初まで巨人がBクラスに低迷していることは景気にとっては悪材料だ

 景気と関連がある身近な社会現象の中で、3月、4月と弱含んだのがJRA(日本中央競馬会)の売上高(売得金)だ。2008年年初から2月までのJRA(日本中央競馬会)の累積売上高は前年比3・2%増の増加で、年間売上げ11年ぶりの増加に向けて順調な動きと思われたが、株式市場などの混乱があった3月で弱含み、年初から4月27日までの累積売上高は前年比0・8%減となった。

 しかし明るい材料もある。今年のゴールデンウィークの人出は4月26日から5月6日までの11日間で7014万人の見込みと、史上最高の人数となりそうなことが警察庁から発表された。なお、期間が9日間だった昨年は6618万人だった。行楽に出かける人が多いようで、旅行関連などの支出はそれなりにしっかりしているようだ。

雇用関連データも大きく改善

 限界的な雇用関連データも大きく改善している。東京23区内のホームレスの数は、2008年1月末で2611人となった。データがある1995年以降で初めて3000人の大台を割り込んだ。ちなみに過去最高は金融不況色の強かった99年8月の5798人である。失業者がホームレスになることが少なくなったと言える。個人の自己破産申し立て件数も2003年11月分以降直近2月分まで52カ月連続で前年同月比マイナスである。

 3月分の全国消費者物価指数で食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(いわゆるコアコア)が前年同月比で0・1%の上昇となった。1998年8月の0・7%上昇以来9年7カ月ぶりのプラスでデフレ脱却を示す象徴的な出来事になった。また、生鮮食品を除く総合指数(いわゆるコア)は6ヵ月連続して前年同月比プラスの伸びとなった。前年同月比で1・2%上昇と消費税率の引き上げの影響を除けば1993年8月分以来の上昇となっている。物価上昇の消費生活への影響を注視しなければならない厳しい局面だ。但し、2008年度全体ではコア指数は1%程度の伸び率にとどまりそうだ。

2008年に入りそれまで弱めの数字が出ていた毎月勤労統計でも、ある程度しっかりした数字が出るようにはなった。例えば、現金給与総額の前年同月比は1月分が1・6%増、2月分が1・5%増、3月速報分が1・2%増である。これまで上がらないと言われていた賃金データの足元の上昇は明るい話題の1つと考えられよう。

 先行きの景気に関しては、悲観的材料を重視するか、楽観的材料を重視するかでさまざまなシナリオが描ける微妙な状況なだけに、過度な悲観論が台頭することで景気の足を引っ張ることがないように、と思う昨今である。

たくもり・あきよし

「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。


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