環境問題に対する企業活動が熱を帯びる中、入居するビル施設それ自体の省エネ化、グリーン化が注目を集めている。ただしすべてがメリットを感じて自発的に取り組んでいるわけでもなさそうだ。
2Dおよび3Dソフトウェア大手のオートデスクは7月24日、環境に配慮したビルディング(グリーンビルディング)の建築や設計に関する説明会をプレス向けに開催した。米Autodeskで建築、エンジニアリング、土木部門のマーケティング担当バイスプレジデントを務めるジム・リンチ氏が、グリーンビルディングに対する企業の取り組みや環境ビジネスがもたらすメリットなどを紹介した。
このところオートデスクが一貫して提唱しているのが「サステナブルデザイン」の重要性である。同社はサステナブルデザインを、設計の各プロセスにおいて環境や社会、経済的な要因を統合し、解析および最適化するものと定義している。サステナブルとは「維持・持続可能な」という意味を表すため、サステナブルデザインは環境や経済に対して永続的に効果を持つ設計というわけだ。リンチ氏は「地球の資源が枯渇しており、今後はサステナブルな環境をつくり出すことが重要になる。そうした中で建物や建築が果たす役割は大きい」と強調する。
それはなぜか。実は建物が環境に及ぼす影響は軽視できないからだ。環境の格付けシステム「Leadership in Energy and Environmental Design(LEED)」を策定する米Green Building Council(USGBC)の調査によると、米国でエネルギー消費の総量が最も多いのが建物(39%)で、次に交通機関(32%)、産業活動(29%)と続く。また別の調査では、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出や廃棄物の産出においても建物は大きな環境負荷をかけているというデータも出ている(図1)。
「空調や照明だけでなく、(窓などをつくるための)原材料もエネルギーを消費する。自動車業界ではハイブリッド車が人気を博しているが、建築業界にもハイブリッドビルといったものが必要」(リンチ氏)
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