米国人の著名コンサルタントおよび著作家であるマイケル・トレーシーは「The discipline of market leaders:(邦題)ナンバーワン企業の法則」という著作を発表しました。国内では1995年に翻訳されて発行されています。マイケル・トレーシーは、何年もかかって、業界ナンバーワンの企業を調査しました。彼はこれらナンバーワン企業に共通する特徴を見つけるのです。その特徴は、とてもシンプルなもので、複雑なビジネスルールや、複雑なビジネスプロセスではありませんでした。
各業界におけるナンバーワン企業は、「Value Discipline :(日本語訳)価値理念」 を明示的に「たった1つだけ保有していること」を発見したのでした。
この価値理念という概念は、少々分かりにくいのです。ビジネス戦略ではありません。もちろん、戦術的に何らかの強制力をもつ概念でもありません。企業の存在価値そのものとか、そこで生活を営む従業員の信じる道とか、そういう類のものです。しかし、業界ナンバーワン企業は、お客様にも、株主にも、同じ「価値理念」を明示しました。従業員には、正社員だけでなくアルバイトやパートさんに至るまで全員が理解し、その理念の下で働いているということをトレーシーらは発見したのです。そして、業界ナンバーワン企業が明示している価値理念は、たったの3種類しかないことを見つけたのです(図3)。
では、読者の皆さんは、この3つの価値理念の中の1つを選択して自社の価値理念とするならばどれを選択しますか。「商品の優位性」「ビジネス運営の卓越性」「顧客との親密性」のうちの1つです。
商品の優位性で有名な企業はソニーです。CPUでお馴染みの米Intel、運動用具大手のNikeなども、この分類でそれぞれ業界ナンバーワンの地位を確立しています。日本の製造業の皆さんは、商品の優位性を自社の価値理念と考えるのではないでしょうか。素晴らしい価値理念です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授