2007年12月に当時業界7位の三洋信販を完全子会社化し、日本最大の消費者金融会社になったプロミス。後編では、企業合併時のシステム統合や今後のM&A戦略などに迫る。
前編はこちら。
――2008年6月、経済産業省の肝いりで日本の名立たる企業の情報システム部門の責任者が集められ提言を出しました。一方で、日本には真のCIO(最高情報責任者)などいないとの声も聞かれます。プロミスの経営企画部門では、情報シス部門の今後をどのようにお考えでしょうか。
立石 わたしも欧米的な意味でのCIOは日本にいないと思います。日本的な経営風土がそれを許さないし、情報シス部門の責任者もそこまで責任を取れないと思います。日本の経営風土はそれなりにいい部分もありますから、欧米の企業のように特定の人がすべてのシステムを取り仕切ることが最良とは一概に言えません。
皆で検討を重ねて計画を実施することは日本企業の意思決定のプロセスです。時間がかかるかもしれませんが、危機感の共有のように目的がはっきりしていれば、その問題も回避できるのではないかと思います。
CIOの育成については懸念があります。専門教育のみで実務をあまり知らないCIOが誕生した場合、その人が学んできた知識に偏って独善に陥り、システムの運用が危機的状況を迎える可能性もあります。
――コンピュータと通信、ソフトウェアに対する投資はこの2、3年で企業ごとに対応が違ってきています。オープン化、メインフレームに代表されるレガシーシステムの代替などですが、これは情報シス部門や製造、流通あるいは外部との接続も関連すると思います。企業によっては情報シス部門全体をアウトソーシングするケースもあります。
立石 金融機関は消費者金融であれ、銀行であれ基本的にITの設備産業のような側面があります。経営と情シスは不可分の関係にあると言えます。現在、システムの運用は既にアウトソースしていますが、必要があればそれ以外の部分でもアウトソーシングを活用してスピーディーに対応することも選択の1つです。
重要なのは、法律の変更やM&Aのような経営課題が発生した時に、いかにスピーディーに低コストで要求された機能性能を発揮するシステムを構築できるかということです。その中には提携関係にある三井住友フィナンシャルグループや、当社のシステムと接続されたさまざまな企業のシステム(ATMの提携先の銀行や収納代行提携先のコンビニエンスストア、与信時に利用している情報センターなど)との整合性も課題になります。
三洋信販をM&Aした際のシステム統合には苦労しました。しかし、経営統合の発表から、わずか1年(実態は9カ月)で正式運用まで持ち込めたのは自信につながります。消費者金融のシステム構築で重要なものの1つは「スピード」だと考えています。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授