親会社の傍若無人に悲鳴を上げる関連子会社を山ほど見てきた。ビジネス環境が目まぐるしく変化する今、企業が生き残るためには“化石のような”親子関係を早々に絶つべきである。
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効果的なIT導入の進め方について多くの事例を紹介してきた。今回は、(親会社に対する子会社にあたる)関連会社を取り上げる。関連会社といっても、一部上場の会社から零細規模の会社まで幅広い。ここでは大規模で親会社からの影響を拒否できる会社は議論の外とする。
親会社に泣かされる関連会社の例は枚挙にいとまがない。金融会社のA社は、現行のシステムを導入するときに、グループ会社であるソフトウェア会社のシステムをさも当たり前のように採用した結果、導入時の対応の悪さやシステムの使いにくさに悩まされた。今回は公正な評価を基にグループ会社以外の製品も検討した。見積もりの結果、独立系ソフトウェアファームの製品が最も適していると判断した。しかし、いざ発注決定段階で、グループ全体を取りまとめる親会社から横やりが入り、グループ会社の製品を導入せざるを得なかった。
工事請負とアフターサービスを手掛けるB社は、従業員50人ほどで年商15億円に満たない小企業である。B社は、経理、人事、仕入れ、受発注業務について、PCを使った独自の簡便なシステムを構築した。システム構築の1年後、親会社から某社のERP(統合基幹業務システム)パッケージを導入するので、B社も導入すべしという指示がきた。B社の受注額の99%を占める親会社の指示に逆らうことはできず、B社にとってまったく意味のないERPを導入せざるを得なかった。無駄な予算と労力を使い、身分不相応の重たいERPが走り出した。
電子機器メーカーのグループ会社同士が合併することになった。「対等合併」と世に発表されたが、実質的には規模の大きいC社が小規模のD社を合併する形になり、すべてがC社主導で進められた。建前上は対等合併なのでD社の不満は募った。
コンピュータシステムを統合する段階で不満はピークに達した。D社は従業員が約60人、年商20億円程度の小企業で、それまではPCに簡易パッケージソフトをインストールした手軽なシステムで十分業務をこなしていたからだ。経営すべての面でC社が主流ならば、D社は合併新会社の一部門として、従来の使い慣れたシステムをしばくの間単独で稼働していきたいと考えた。
しかし許されず、C社のシステムに吸収統合されることになり、使いにくいシステムを利用せざるを得なかった。どうしてもC社システムになじめず、そうかといってC社のシステムをまったく無視することもできず、従来のD社のシステムを密かに平行稼働するに至った。D社にとっては二重の手間で忙しさは倍増した。まったく、ばかげた話である。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授