これらの目標において、例えばグローバル化とローカル化を車の両輪とすると、その間でエンジンとなるのがグローバル市場における組織のナレッジ共有と活用である。グローバル経営という名の車を走らせる動力源になる。地域ごと、国ごとではなく世界全体で市場をとらえることは、グローバル市場は既存製品・サービスの販売先市場であると同時に、世界中で革新的製品・サービスの創出の場でもある。一方で単一グローバル製品だけでは、特定の国・地域のニーズに合わないことがままある。2バイトである日本語への対応が必要なIT製品(英語版)などは顕著な例である。他方でローカル向け(特定国市場)に開発された製品では、他国で通用しないことも起こり得る。グローバル・ローカル市場を左手で掴みながら、右手で製品やサービスを開発、販売し、適時に見直していくのが鍵となる。
例えば外資系企業の日本発グローバル化製品として、高級アイスクリームブランドであるハーゲンダッツの「抹茶アイス」が挙げられる。当初日本市場のみの販売であったが、今ではアジア市場でも販売されている。また飲料メーカーであるコカ・コーラは、日本発のスポーツ飲料「アクエリアス」をヨーロッパ市場で、清涼飲料の「Qoo(クー)」を中国、台湾、タイなどのアジア市場で展開している。逆にグローバル製品のローカル化を進める代表的な企業がネスレだ。ネスレの「キットカット」は地域ごとに特有のテイストや嗜好に合わせて製造している。
これらは日本市場向け製品がグローバル市場へ展開された事例であり、グローバル製品をローカル化した事例でもある。グローバル化とローカル化、ナレッジの共有と活用を促す仕組みという、一見矛盾した目標をバランスよく達成することがグローバル経営の要諦である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授