モバイルWiMAXや次世代PHSが試験サービスを始める2009年。ケータイによるネット活用がますます普及するのは間違いないだろう。そのほかにもWebに関して注目すべきキーワードは多数存在する。今後の動向を紹介する。
経済環境は厳しいが、2009年もWebの活用が普及、拡大していくことは間違いない。社外向けのマーケティングや顧客サービスを主としたWebと社内向けのエンタープライズWebについての展望と今後のキーワードについて考えてみたい。
社内Webへの関心は日増しに高まっており、導入は増えるだろう。バブル崩壊以降のマネジメントで衰えた会社や仲間との連帯感や助け合う姿勢を改善するニーズもある。しかし、社内SNSやEGM(Employee Generated Media)、クラウド・ソーシングなどの言葉は踊ってはいるが、道を見失いがちというのが実情だ。整理された理解が不可欠である。
また、ユーザー本意かつ人がつながることが鍵というヒューマンファクターが大きなシステムであるため、社内Webと一口に言っても内容は各社各様となる点を踏まえる必要がある。従って、目的、プロジェクトと推進体制の設計、企業文化への適合の3点が改めて重視されるようになるだろう。
社外向けのWebは、会社のネット化フェーズによりさまざまだが、総じて活用は進むとみられる。初心者的企業ではホームページの開設や強化、SEO導入などが、上級者的な企業ではケータイやソーシャルWeb、そしてWebと連携した顧客サービスへの取り組みが進むだろう。NTTドコモによると、主要業種の上位20社のうち、そもそもケータイサイトがある企業は2割に過ぎないそうだ。つまり、「ケータイ1.0」ができていない。しかし、ご存知のようにケータイのネット利用は進んでいくのであり、長期的にケータイでのWebマーケティングに取り組まざるを得ない。2009年あたりから動きが本格化するだろう。
ブログやSNS、コミュニティなどソーシャルWebの存在は日増しに大きくなっている。顧客コミュニケーションのためにも無視できなくなってくる。ブログや「価格.com」などの外部サイトのモニタリングから始まり、自社のソーシャルWebでのコミュニケーションだけでなく、Q&AサイトやYouTubeなど外部との連携も増えるだろう。
靴の通販の米Zapposに代表されるように新たな顧客サービスが注目されている。Webを活用したコミュニケーションにコンタクトセンターなどマルチチャネルで顧客対応し、さらにソーシャルWebでファンをつくっていくというものだ。
今後のキーワードについては、モバイル・ブロードバンド、オープンWeb化、ジオメディアあたりが知っておきたい大きな波だ。
モバイル・ブロードバンド
2009年、UQコミュニケーションズが2月にモバイルWiMAXの、4月にウィルコムが次世代PHS「WILLCOM CORE」の試験サービスを始める。2010年にはドコモが3.9世代とうたう高速データ通信のLTE(Long Term Evolution)を始める。
2007年末に割り当てられた2.5GHz帯を利用する2つのサービスについては、報道などでも期待感が強いようだが、課題も多い。現実にどういったユーザー・ベネフィットが得られ、市場に受け入れられるか注目したい。MVNO(Mobile Virtual Network Operator)の進展もモバイル・ブロードバンドの生態系に影響するだろう。
ケータイ3社が採用へと動いているLTEがケータイの標準となるだろうが、他デバイスを含む生態系ですみ分け、あるいは複合されていくか見守りたい。光でも同じ議論があったが、それだけのブロードバンドで何をするかは課題だ。多数のユーザーが同時に使った場合のインフラの限界をどう解決するかが課題となるだろう。
オープンWeb化
Webサービスのオープン化は、1つのIDでさまざまなサイトにログインできるようにする認証方式「OpenID」に始まり、サービス間でのデータ共用などが社外・社内向け共に進んでいく。これにより、ユーザーの利便性が改善されると同時にサービス間の連携が促進されるだろう。
ジオメディア
パソコンやGPS搭載ケータイを通して、位置・地図情報がほかのサービスと組み合わさり、ユーザーにとってのリアルな活動への価値を提供するようになる。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授