トヨタ自動車が中国市場へ積極攻勢中国ビジネス最前線

自動車産業が世界的な低迷を続ける中、トヨタは成長市場である中国へのシフトを打ち出して販売数の増加を狙う。

» 2009年02月27日 07時45分 公開
[内田総研グループ,ITmedia]

▽中国工商銀行が時価総額で世界一に

 中国工商銀行は2月10日、同行の総資産が今年1月末までに10兆元(1元は約15円)を突破したことを明らかにした。中国の銀行の総資産10兆元超えは、今回の中国工商銀行が初めて。

 工商銀行によると、同行はここ数年、着実な経営戦略で発展を続け、総資産もバランスよく増加し、営利能力も絶え間なく向上してきた。とりわけ2008年下半期以降は、外部経済環境の複雑さと目まぐるしい変化、国際金融危機がもたらす悪影響を克服し、総資産の健全な発展を維持し、資産構造もさらに改善された。

 工商銀行は現在、時価が世界最大の上場銀行の座にあり、A株の株価で計算すると、時価総額は1兆3千億元にまで達しており、時価総額世界一の銀行となっている。

 中国銀行監督管理委員会の初期統計によると、中国の銀行業金融機関が中国国内に持つ人民元と外貨の総額は62兆元に上り、そのうち工商銀行を含む5大国有商業銀行の資産総額は31兆8千億元に達しているという。

▽トヨタ自動車、中国市場へ積極攻勢

 自動車販売台数でトップの座に踊り出たトヨタ自動車。しかし、2008年度の業績は59年ぶりの赤字となる見通しだ。欧米市場の不況が主な原因であるため、成長を続けている中国自動車市場へのシフトを明確に打ち出している。中国は2009年、自動車販売台数で米国を超え、世界一の自動車消費市場となる可能性がある。

 トヨタは現在、中国市場開拓を積極的に進めている。トヨタ傘下の合弁企業である一汽トヨタは2009年1月、1万9911台を売り上げ、前年同月比81%の急増を記録した。

 自動車産業では世界的なリストラが続いているが、中国の広汽トヨタ自動車は2月14日、企業の安定と社会の安定発展を確保するため、リストラしないことを発表している。同社の2009年の事業計画によると、中国各地の大学や民間から各種の人材を募集し、多くの就業チャンスを提供していくとしており、中国市場に対して積極攻勢を鮮明にしている。

▽国務院、電子情報産業計画が通過

 温家宝国務院総理が2月18日に召集した国務院常務会議で、電子情報産業調整振興計画が審議され大筋で採択された。会議では、電子情報産業は国民経済における戦略的、基盤的、先導的な支柱産業であると位置付けられ、今後3年間における電子情報産業の大きな3つの重点課題を決定した。


電子情報産業の重点課題

1. 産業体系の健全化を図り、基幹産業の安定的な成長を確保する。コンピュータ産業の競争力を向上させ、電子部品のグレードアップ、音声映像産業のデジタル化を重点的に進める。

2. IC産業体系を構築し、新型ディスプレイ産業、ソフトウェア産業の自主的発展能力を高める。

3. 通信設備、情報サービス、情報技術応用分野などの新しい成長点の育成を重点として進める。


電子情報産業発展への具体的対策

1. 内需拡大や電子情報製品の応用、産業の発展空間の開拓に力を入れる。

2. IC回路のグレードアップ、カラーテレビのモデルチェンジ、第3世代移動通信産業における発展、デジタルテレビの普及、コンピュータのレベルアップや次世代インターネット応用、ソフトウェアと情報サービス関連の6つの大きなプロジェクトを実施する。

3. 自主的革新能力の建設を強化する。国家科学技術重大特定プロジェクトの実施を加速させ、企業による買収や合併(M&A)を支援し、公共技術サービスの環境の健全化を図る。

4. サービスのアウトソーシングを促進し、企業が海外で研究や開発を行い、生産基地やマーケティングネットワークを構築するよう支援する。

5. 政策面のサポートを強化し、ソフトウェアとIC産業発展の関連奨励政策を充実させ、デジタルテレビ産業の政策を実施する。ハイテク企業の認定基準を調整し、電子情報製品への輸出税還付、輸出貸付と信用保険によるサポートを拡大し、中小企業における債券発行の試行対象企業の範囲を拡大する。



※この記事は内田総研グループ発行のメールマガジン『士業・net』の一部を加筆・修正し、許可を得て転載しています。

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