【第17回】新入社員すべてをパンダ型だと思い込むなミドルが経営を変える(2/3 ページ)

» 2009年03月24日 07時30分 公開
[吉村典久(和歌山大学),ITmedia]

帰属意識の低いカーリング型社員

 カーリングは、トリノ冬季オリンピックにおける日本女子チームの活躍で脚光を浴びることとなった競技だ。カーリング型の新入社員の特徴は以下の通りである。


 「冬期オリンピックでおなじみになったカーリング、新入社員は磨けば光るとばかりに、育成の方向を定め、そっと背中を押し、ブラシでこすりつつ、周りは働きやすい環境作りに腐心する。しかし、少しでもブラシでこするのをやめると、減速したり、止まってしまったりしかねない。

 売り手市場入社組だけに会社への帰属意識は低めで、磨き過ぎると目標地点を越えてしまったり、はみだしてしまったりということもあるだろう。就職は楽勝だったかもしれないが、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題などの影響により経済の先行きは一気に不透明になった。これからも波乱万丈の試合展開が予想され、安心してはいられない。自分の将来は自分の努力で切り開いていくという、本人の意志(石)が大事になろう」


ラベリングの材料にしてはならない

 一見すると特徴も「なるほどなあ」と思わせるもので、それぞれの時代で注目された出来事やヒット商品などになぞらえたネーミングになっていて、大変興味深い。しかし、大学教員としての立場からミドルの方々へお願いがある。こうしたネーミングを決して「ラベリング」の材料にしないでいただきたい。国語辞典によれば、ラベリングとは「レッテルを貼って決めつけること」と定義されている。

 もう一度、表に目を落としてもらいたい。特に自分自身が入社した年を見て、同期入社の面々を思い出してほしい。同期が少なければ、入社年度の近い先輩、後輩の特徴を思い起こしてほしい。振り返ってみれば、さまざまな人間がいたのはずだ。いわゆるバブル入社組のタイプに当たる、「液晶テレビ型」「タイヤチェーン型」「お仕立券付きワイシャツ型」「バーコード型」などの新入社員は、そこそこ資質がありそうだが、それを伸ばすことにミドルが往生している姿を表現している。

 同時期に入社したミドルの方々はどう感じるだろうか。資質もいろいろなら、問題のある上司の下でも伸びた同期、心ある上司の下にいたのにまったく芽が出なかった先輩なり後輩は周りにいなかったか。

 桜の咲くこの時期、会社で新入社員を迎え入れる段取りに追われているミドルもいるだろう。どんな新入社員が配属されてくるか、気が気でない方もいるはずだ。新入社員を十把ひとからげにラベリングすることなく、快く迎え入れてほしい。

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