リーダーが行動を変えるためには、部下からさまざまな意見や指摘を受けることが必要である。これは部下にとってもメリットがあるのだという。
自民党からの次期衆議院選への出馬要請に対し、東国原英夫・宮崎県知事が提示した条件の1つである「自分を自民党総裁候補にすること」が、連日、メディアを賑わせている。彼自身思うところがあっての条件なのだろうと推察するが、正直なところ、あまり感心していない。
彼が掲げる地方分権を推し進めるためには、国政に打って出ることが必要である。そのための出馬であり条件であれば、周りの人たちもきっと自分を支援してくれると思ったのかもしれない。一方で、「宮崎県の知事に選ばれ、宮崎のために尽くすと言っておきながら衆議院選に出馬するのは、自分の任務を放棄することになるのではないか」という見方があるのも事実である。
このような見解の違いは、自分が自身を見る目と、他人(部下や周りの人)が自分を見る目が異なることによって起きる。人は、その気はなくても、自分に対する評価を甘くしてしまうものだ。それが人間の習性である。しかし、他人から受ける評価と自分自身による評価とがまったく異なることは良くあるのだ。冷静かつ客観的な分だけ、他人が自分を見る目の方が正しいことが多い。
わたしがビジネスコーチング研修などで必ず伝えるのが「リーダーの自己変革のためには職場のメンバーに自分の見方を変えてもらう必要がある」ということである。その第1ステップとして、「まわりのメンバーからフィードバックを受け取る」ということを実践していただいている。
フィードバックとは、現在の自分自身の言動に対する、周囲の人たちからの客観的な見え方である。このフィードバックを受け取ることによる発見は驚くほど多い。ある企業の経営幹部の方は、自分自身の弱みや改善すべき点は「人の話を聞かない」ことだと思っていた。しかし、実際に部下に聞いてみところ、次のような意見が返ってきたという。
「話は聞いていると思います。ただ、聞いた後に破壊的なコメントをすることが問題だと思います」
1人の部下だけではなく、何人かの部下から同様の意見をもらったそうだ。自分の改善点は話を聞かないことだと思っていたが、部下が改善を望んだのは、話を聞いた後のコメントだったのである。「そのことによって、組織に意見を言いにくい雰囲気が生まれ、話をしづらいと言う若手の社員も出てきている、それはあなた自身にとっても良いことではないのではないか」と部下たちは率直に話してくれたという。振り返ってみると、部下から何か話をされたり、報告を受けたりしたときに高圧的になってしまうことがあったかもしれない、と彼自身も思い当たったそうだ。このように部下や周りの人間に自分の欠点は何かと聞いてみるといろいろなことに気付かされるはずである。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授