不況期の中、多くの企業では早急な経営改革を迫られている。躍進し続けるためには営業最前線において3つの観点での創意工夫が必要だという。
2009年8月30日。衆議院総選挙で民主党が300議席を超えて圧勝し、50年ぶりの政権交代がなされました。これは、従来の官僚主導による国政から、マニフェストを掲げて実行する政治主導の国政へと、変革が求められた結果であると読み取ることができます。企業では政治に先駆けてそのような動きが出ており、サービスプロバイダーも顧客企業との接し方の変革を迫られています。
前回はサービスのプライシングについて述べましたが、今回はサービスプロバイダーが変革を迫られている営業最前線について述べます。
今までの日本の意思決定の流れを見てみると、ミドルマネジメントが課題を定義、検討し、経営者に判断を仰ぐという、ミドルアップ→トップダウンという流れが多かったと思います。この場合、トップダウンと言っても基本的には下から上がってきたものを承認することがほとんどであり、まずトップ自ら戦略を定め方向性を指示するという本来の役割は少なかったのではないでしょうか。どこへ向かうのかというリーダーの意思や戦略が曖昧な中でワイワイとやっている状況がすなわち「お神輿経営」と呼ばれる所以でした。
しかし、グローバル化に伴い競争が激化し、さらには昨年のリーマン・ショック以降の急激な経営環境の変化に対応するため、多くの企業が今までよりも非常に短い時間の中で業務変革やコスト削減などを意思決定し、実行に移す必要性が出てきました。
今年の上場企業の4〜9月期決算の発表を見ると、多くの会社が下方修正や赤字転落に苦しんでいる中で、過去最高益をたたき出して気を吐く会社が全体の9%近くありました。その多くがトップダウンによって迅速かつ徹底した戦略の実行を行った企業です。やはりこの不況下においては、トップの強いリーダーシップによって圧倒的なスピードで意思決定を行い、実行に移さなければ、生き残ることは難しくなってきたといえるでしょう。
このように、顧客企業のトップが戦略を策定し、意思決定する機会が増えてくると、顧客企業に向けて価値を提供するサービスプロバイダー側も、トップに対して価値を訴求し納得いただき、意思決定をしてもらえるような営業へとGo To Marketモデルを再定義する必然性が出てきました。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授