2008年のCO2排出量は経済停滞にもかかわらず2%増加――国際研究プロジェクトが警告

国立環境研究所は11月18日、人間活動に起因する2008年のCO2排出量は2007年比で2%増加し、1人当たり過去最高の年間1.3トンに達したと発表した。

» 2009年11月24日 19時38分 公開
[栗田昌宜,環境メディア]
環境メディア

 国立環境研究所は11月18日、世界金融危機の影響で経済活動が停滞しているにもかかわらず、人間活動に起因する2008年のCO2排出量は2007年比で2%増加し、1人当たり過去最高の年間1.3トンに達したと発表した。

 この調査結果は、地球規模の炭素循環の全体像を解明することを科学的目標とした国際的な研究プロジェクト「グローバルカーボンプロジェクト(GCP)」がイギリスの地球科学専門月刊誌『ネイチャージオサイエンス』の掲載レポートで明らかにしたもの。

 同レポートの執筆者の1人であるオーストラリア科学産業研究機構(CSIRO)のマイク・ローパック博士は、化石燃料の燃焼によるCO2排出量は1990 年比で41%増加しており、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予想した最悪ケースのシナリオに沿った動きになっていると指摘。さらに「世界金融危機の影響でCO2排出量は若干減少するが、世界が削減に向けた努力を加速しない限り、CO2排出量は経済の回復とともに再び増加基調に転じるだろう」と警告している。

 また、途上国におけるCO2排出量の増加率が高まっているのは、先進国で消費される製品を途上国が生産しているのが一因。例えば中国では、2002年から2005年にかけて増加したCO2排出量の半分が輸出品の生産に起因しているという。

 GCPの調査によれば、2008年の大気中のCO2増加量は約40億トン(炭素換算)で、大気中のCO2濃度は385ppmに達しており、産業革命以前の値に比べて38%増加した。

 詳しい情報は、GCPのWebサイトで閲覧できる。なお国立環境研究所は、GCPの事務局を務めている。

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